今週から、中間テスト一週間前になった。先生から、ゴールデンウィーク明けに話があった。部活動も今日から、どこも活動していない。
『白井君、おはよう。』
『美原か、おはよう。』
『もうすぐ、テスト始まるね。』
『そうだな、美原は自信ないのか。』
『ちょっと不安かな。』
『そうか。』
『白井君は、大丈夫なの。』
『いや、全然大丈夫じゃない。』
『そうだよね、科目が多いから覚えること沢山ある。』
その日からの授業では、テストに出る所や大事な所を重点に置いて、授業をしてくれるようだ。
この学校の中間テストは、他の学校とは違う所がある。五科目と、選択授業の二科目も追加されている。
『おはよう、美原君、白井君。』
『おはよう、鴇野君。』
彼はこのクラスの学級委員長、鴇野霞君
『話の腰を折って悪い、話が少し聞こえてな。』
『良ければ、僕が勉強教えようか。』
『良いの。』
『良いよ、いつでも頼ってほしい。』
『ありがとう。』
『鴇野君おはよう。』
『早田さん、おはよう。』
『白井君も、美原君もおはよう。』
『おはよう。』
『おはよう。』
彼女はこのクラスの副委員長、早田遥香さんだ。
『早田さん、どうかしたの。』
『いえ、挨拶しただけよ。』
『そうか、今日も頑張ろう。』
『ええ。』
『それで、二人共どうかな。』
『鴇野君が、大丈夫なら。』
その時、鴇野君の後ろにいた早田さんが、何かを訴えるような目でこちらを見ていた。それに気付いた、僕と白井君。
『鴇野、悪い。他の奴と勉強会する予定があったの忘れてた。』
『そうか、なら仕方ないな。』
『ごめんね。』
『鴇野、悪いな。』
『気にするな、また何でも言ってくれ。』
『ありがとう。』
『ああ。』
『鴇野君。』
『早田さん、どうした。』
『話が聞こえていたの。約束してる人がいないなら、私に勉強を教えてほしいんだけど。勉強会、しましょ。』
『そうだな、良いぞ。』
『ありがとう。』
早田さんは鴇野君と歩きながら、僕達の方を振り向いて、軽く会釈して自分の席に戻って行った。
『はーい、ホームルーム始めますよ。自分の席に戻ってね。』
テスト前週間、暗記することが多く僕は悩んでいた。
お昼休み、いつもの四人でご飯を食べていた。
『ねえ皆で、明日勉強会しない。』
『良いな、暇だったんだよ。』
『あんた、遊ぶわけじゃないの。』
『俺も良いぞ。』
『明日は、俺も白井もバイト休みだからな。』
『僕も大丈夫。』
場所をどこにしようか、話していたがお昼休みが終わったため、続きは、放課後にすることになった。
『おい、行こうぜ。』
『うん、白井君も。』
『そうだな。』
放課後、僕達は四人で帰っていた。勉強会の場所を、どうしようかと話していた。
『んー、どこでしよう。』
『長時間、いれる場所ってあんまりないよな。』
『そうだよね、迷惑かかるから。』
『俺の家で、しないか。』
『白井の家か、良いと思う。』
『私も、行ってみたい。』
『僕も、行きたい。』
『そんなに、楽しい所じゃないけど。決まりだな。』
白井君の家で、勉強会することが決まった。その日は帰ることになった。紙野駅で、朝十一時集合だ。その日、そのまま解散になった。翌日の朝、僕は紙野駅に向かった。電車の中で、声をかけられた。
『美原、おはよう。』
『立花君、おはよう。同じ、電車だったんだ。』
『俺も乗った時は、気付かなかった。』
『僕も、びっくりした。』
立花君と一緒に、紙野駅の前に向かうと西田さんがもう待っていた。
『美原君おはよう。』
『おはよう西田さん。』
『灰人と、一緒だったんだ。』
『おはよう。』
『おはよう、昨日は帰りが遅かったって、おばさんから聞いたけど。』
『昨日は、バイト忙しかったんだよ。』
『そう、なら良かった。』
『ん、何のことだ。』
『別に。』
『言えよ、気になるだろ。』
『それより灰人、今日は勉強会なんだから。ちゃんと、色々と持って来たの?』
『持って来たぜ、ほら。ポテチに、ジュース。』
『このバカ。』
西田さんの、ゲンコツが立花君の頭を直撃した。
『痛っ、何だよ。』
『遊びに来たんじゃないのよ。』
『冗談じゃねえか、ほらこれ。』
西田さんにリュックの中身を見せた。
『ふん、初めから見せてくれれば良かったのよ。』
『ふん。』
二人が険悪になった頃、白井君が来た。
『悪い、少し遅れたか。おはよう。』
『おはよう、間に合ってるよ大丈夫。』
『白井、おはよう。』
『白井君、おはよう。』
『ん、立花と西田は何で怒ってるんだ。』
『別に。』
『別に、何もないよ。』
『そうか、とりあえず家行くか。』
『そうだね。』
『途中、コンビニがあるから、寄りたいなら言ってくれ。』
『私、寄りたい。』
『俺も、昼飯買わないとな。』
『そうだね、僕も買いたい。』
暫く歩きながら、談笑しているとコンビニの前に着いた。それぞれ、好きな物を買った。
『』
途中、野良猫を見つけて撫でたり、川で泳ぐ魚を見たり。歩いて行くと、白井君の家は
『着いた、二階の二〇四号室だ。』
『俺が先に行く。』
『灰人は、鍵持ってないでしょ。』
『あ、そっか。』
白井君に鍵を開けてもらい、家に入れてもらった。
『お邪魔しまーす。』
『邪魔するなら、帰ってー。』
『うるさい。』
『荷物置いて、好きな所に座ってくれ。飲み物、持って来る。』
『私も、手伝うよ。』
『ありがとう。』
『白井君、ありがとう。』
『あー、意外と遠かったな。』
『そうだね、でも寄り道したり楽しかった。』
『だな、ちょっと休憩。』
暫くすると、二人が飲み物を持って来てくれた。
『ありがとう。』
『俺は、このコップだ。』
『あ、ちょっと灰人。』
『一番大きい、コップは俺が使うって決まってんだよ。』
『バカじゃないの。』
『ははは、好きに取ってくれ。』
『疲れたね、勉強の前にご飯食べよっか。』
『鈴、たまには良いこと言うな。』
『たまには、って何よ。』
『そうだな、皆で食べるか。』
僕たちは、皆でご飯を食べて、少しゆっくりしていた。
『ご飯食べたら、眠くなってきたな。ふぁぁ…。』
『灰人、寝転ばない。寝たら、これだからね。』
『分かってるよ。』
『よし、勉強するか。』
四人で勉強を始めて、分からない所を教え合ったりしていると、二時間ほど経っていた。
『疲れたぁ…そろそろ、休憩しようぜ。』
『そうだな、おやつタイムにするか。』
『そう来ると思って、このジャイアントDXチップス買っておいたぜ。』
『立花、用意が良いな。俺も、大きいのあるから持って来るよ。』
『おう。』
『このチップス、チーズ味だ。』
『俺が、チーズ好きなんだよ。』
『持って来たぞ、俺のは川太郎のルビーDXだ。』
『定番だね、私それ好き。美味しいよね。』
『僕も、両方好き。』
『皆で食べようか、ジュースも置いておいたから好きな物入れて飲んでくれ。』
『勉強頑張った後の、コーラは美味いな。』
『灰人、おじさんみたい。』
『うるせえ。』
皆で楽しんだ後は、勉強を再開。十八時に解散になった。
『白井君、今日はありがとう。』
『ありがとう、楽しかった。』
『こちらこそだ、楽しかった。』
『また、来るからな。』
『いつでも来てくれ。』
『ありがとう、また月曜日に。』
『ばいばい、またね。』
『また明日な。』
『何で、明日なの。』
『俺と立花、バイト一緒なんだ。』
『そうなんだ。』
二人と駅で分かれて、僕も家に帰った。月曜日、教室に入ると立花君から声をかけられた。
『美原、おはよう。』
『立花君、おはよう。』
『おう、テスト今日から始まるな。』
『そうだね、皆テストだから、ちょっとピリピリしてるね。』
『まあ、中にはそうじゃないのもいるよ。ほら。』
『あ、吉川君。』
『あいつ、テストどうなんだ。』
『分からない。』
『一応、声かけとくか。』
『うん。』
『俺、行ってくる。』
『うん、後でね。』
彼は、同じクラスの吉川宗ニ君。身長は高めで、体格も良かったり。いつも寝起き顔なので、不良と間違われることもあるみたいだ。というのも、国語の授業でグループ分けがあり、そこで一緒になったことがあった。
『吉川、おはよう。』
『立花か、おはよう。どうした。』
『いや、今日テストだから。』
『あー、大丈夫。赤点、取らなきゃセーフだろ。』
『確かに。』
『だろ。』
僕は、自分の席で白井君と話していた。
『立花は、何してるんだ。』
『吉川君、寝てたから。テストだから、声かけたみたいだよ。』
『あいつは、優しいな。』
『そうだね。』
立花君が、こっちに来た。
『どうだったの。』
『たぶん、吉川は頭良いぞ。俺より。』
『そっか、なら良かったね。』
『そうだけど、悔しい。テスト、吉川より絶対高い点数獲ってやる。』
『吉川は、勝手にライバル認定されたな。』
『あはは。』
今日のテストは、三教科。国語、化学、歴史だ。対策は、一応してきたけど不安はある。
『はーい皆さん、座って下さい。ホームルーム始めます。』
テスト時の注意点や、励ましてくれたり。十分休憩を設けた後、テストが始まってしまった。予想以上に、難しかった。やっぱり、中学の時とは全然違う。テストは終了した。
『終わったね。』
『だな、帰るか。』
『うん。』
『白井、ちょっと。』
『どうした。』
『店長のAINE見たか。』
『グループAINEで流れてたやつか、山田さんが休んだって。』
『それだ、まだいなさそうだし今日来るか。』
『大丈夫だ、店長に聞いてみるか。』
白井君は店長にAINEしたら来てほしいと返信があったみたいだ。
『じゃあ行くか。』
『そうだな。』
『なーに、話してるの。』
『鈴か、今から俺達バイト行くんだよ。』
『あ、そうなんだ。白井君、頑張ってね。』
『俺のことも、応援しろよ。』
『え、灰人いたんだ。気付かなかった。』
『おい。』
二人は、バイトに向かった。僕と西田さんも、それぞれ家に帰った。テストは続き、二日目は数学と英語。三日目は、選択科目のテストだ。行われる、教室に移動になった。
『俺は、体育科だから行って来るぜ。』
『頑張ってね、そっちもな。国際科だろ。』
『うん、頑張る。』
一限目は、体育科と国際科のペーパーテストだ。説明しておくと、体育科は、主に保健や人体の仕組みなどを勉強している。実技演習などもある。国際科は、英語だけでなく色んな国の言葉を、ちゃんと口で話せるようにする。異国文化を理解する科目でもある。そしてこちらも、実技がある。担当の先生は元CAで、色んな国で得た知識や経験がある。どの選択科目も、実技テストがある
『実技の練習、土曜日も、昨日もちゃんとしたけど不安。』
『この学校のテスト、難しいよな頭痛くなる。昨日も、勉強してたから眠くて。ふぁぁ…。』
『はい、おはようございます。白井君、欠伸してるの見たわよ。』
『ごめんなさい。』
そう言って教室に入ってきたのは、国際科担当の菜月薫先生だ。
『皆さん、おはようございます。今からテストを始めるので、準備してください。』
一限目も終わり、二限目は実技テストだ。
『やっぱり、難しかったね。』
『そうだな、まだ一年だからと、簡単に考えていたが当てが外れたな。』
『僕もちゃんと、勉強してたつもりだったんだけど、異国文化が覚えきれてなかった。』
『俺は、中国語の所が難しかったな。日本の漢字と形が似てるから、覚えきれてない所があったんだよな。』
『そうだよね、僕も苦戦したよ。』
話しているうちに、休憩も終わり二限目が始まった。
『はい、まずは実技テストについてお話しします。』
実技テスト内容は、先生が外国のお店の店員さん役をする。買う物は何でも良いから、店員に欲しい物を伝えて、ちゃんと会話をして、買い物をすることが合格条件。
『では出席番号順に呼ぶので、隣の二年二組の教室に来て下さい。私がいない間は、正野先生がここにいるので、質問があれば正野先生にお願いします。』
正野圭太、二年生の指導役の先生だ。すごく怖い先生だと、先輩たちが話しているのを聞いたことがある。
『皆さん、初めまして。正野といいます、何か分からないことがあったら、いつでも。』
そう言った正野先生は、体格が大きめで身長が高い。髭が生えていて、目が大きく、目力が強いため怖い印象が強い。菜月先生は、準備のため隣の教室に向かった。五分後に、出席番号順に来るようにと言われた。そして実技テストは順々に進み、今期の中間テストは今日を以って終了した。
『やっと、終わったな。三日間なのに、すごく疲れた。』
『そうだね、僕も疲れた。』
『よし、帰るか。』
『うん。』
『そこのお二人さん、テストお疲れさま。』
『西田、テストお疲れ。どうしたんだ。』
『これからね、テストのお疲れ様会しよう。』
『良いね、どこでするの。』
『ふふふ。なんと今日は、ゆき姉から店長さんに頼んでもらって、香織LuCafeを貸切にしてもらいました。』
『そうなの、母さん何も言ってなかったよ。』
『秘密にしてもらったからね。』
『学校終わったら、みんなで来てってAINEきてたよ。』
『僕は大丈夫だよ、白井君どうかな。』
『今日はバイトも休みだし、予定も空いてるから大丈夫だ。』
『そう、良かった。』
『美原君については、店長さんに聞いてたんだけど。白井君はもしかしたら、来れなかったらどうしようって思ってたの。ごめんね、でも良かった。それに灰人も、今日はバイト休みなんだよね。』
『なら良かった、みんなで行けるね。』
『西田、気にしなくて良い。ありがとう。』
『うん、こちらこそ。』
『鈴、終わったらすぐ行くんじゃなかったか。』
そう言って、近づいて来たのは立花君だった。
『灰人、あーごめん。二人に、まだ話してなかったの。』
『だから、朝のうちに話しとけって言っただろ。』
『しょうがないでしょ、私もテストに集中したかったし。それに今、話せてるから問題ないのよ。』
『はぁ。』
『ちょっと待ってね、もう一人いるの。』
『あの、矢野です。』
『矢野か。』
『立花君、うちが行くのはダメだったかな。』
『いや悪い、そんなつもりじゃない。一緒に行こうぜ。』
『ありがとう。』
『鈴加ちゃんに誘われたの。うちも、参加してもいいかな。』
『もちろんだ、みんなでやろう。』
『うんっ、ありがとう。』
この子は、クラスメイトの矢野美幸さん。西田さんが、よく話しているクラスメイトの一人だ。全員が揃って、みんなで香織LuCafeに向かった。その間は、みんなで話をしていた。
『鈴加ちゃん、これから行く香織LuCafeって、すごい高いお店だったりしないの。』
『大丈夫、ゆき姉が言ってたよ。「安くて美味いがこのお店の売りだ!」って。』
『それなら良かった。鈴加ちゃんの従姉妹がいたり、店長は美原君のお母さんって話だし。うち、少し緊張しちゃって。』
『矢野さん、大丈夫だよ。僕のお母さんも気さくな人だし、西田さんの従姉妹の島田さんも優しいから。』
『そうだな。美原のお母さんは、一人暮らしの俺を気遣って、晩ご飯用にって肉じゃがまでくれたんだ。』
『おい、ちょっと待て。白井だけ、ずるいぞ。』
『あの日は、立花もバイトだっただろ。』
『う、それは。』
『はいはい。灰人が、肉じゃが食べたいって言ってたって、ゆき姉に伝えとくから。』
『ゆき姉に、会うのも久しぶりだな。』
『立花君、島田さんのこと知ってるの。』
『昔な、小さい頃、鈴と俺と遊んでくれてたんだよ。』
『そうなんだ、優しいね。』
『そんなことないぞ、怒ったら鬼になるからな。』
『鬼?』
『灰人、ゆき姉に言うわよ。』
『うっ。』
『あはは。ごめん、面白くて。』
『一緒に来て、良かったでしょ。』
『うん。』
香織LuCafeに到着して、扉を開けると母さんと島田さんが出迎えてくれた。
『いらっしゃい、みんな。』
『みんな、テストお疲れさま〜。』
『こんにちは。』
『はい、こんにちは。あら、二人は初めましてよね。』
『はい、初めまして。立花灰人っていいます。』
『う、うち。あの、矢野美幸です。よろしくお願いします。』
『灰人、敬語使えるんだ。』
『何だよ。』
『別にー。』
『ふん。』
『ご丁寧に、二人とも自己紹介ありがとう。じゃあ私からね、初めまして。美原香織です。ここの店長で、陽太のお母さんです。』
『美原君の、お母さん綺麗だね。』
『あ、うん。ありがとう。』
『矢野さんありがとう。嬉しい、おばさんサービスいっぱいしちゃおうかな。』
『母さん、恥ずかしいからやめて。』
『ふふ、次は私。矢野さん、初めまして。ここの副店長の、島田雪です。鈴ちゃん、灰ちゃんの従姉妹です。よろしくね。』
『よ、よろしくお願いします。』
『かしこまらなくても大丈夫だよ。』
『は、はい。』
『ゆき姉、それやめてほしいんだけど。』
『ん、何が。』
『その、呼び方だよ。』
『えー、何で。可愛いのに。』
『俺は、恥ずかしいんだよ。』
『灰ちゃん。』
『白井、やめろ。』
『あはは、君たち面白いね。』
店の中は、前に来た時とは雰囲気が変わっていて、今日だけ特別で、ビュッフェ形式で好きな料理を楽しめる。デザートも、頼めば出してくれる。
『すごいね。』
『母さん、雪ちゃんと二人で頑張ったもん。』
『ゆき姉も、店長もありがと。』
『ありがとうございますっ。』
『はーい、席はみんな、好きな所に座ってね。今日は貸切だからね。』
『はーい。』
話し合って、男子と女子で、分かれて座ることになった。みんな荷物を置いて、出してもらった水を飲んで一息ついていた。
『美幸、行こ。』
『うん。』
『俺たちも行こうぜ。』
『そうだな。』
色んな料理が置いてあって、トーストやパスタ、それにサラダ、肉料理などが置いてある。
『これ、俺たちで食べ切れないだろ。』
『ふふ、全部食べようとしなくて大丈夫。もし残っても、欲しかったら好きな物持って帰っても大丈夫だし、バイトの子たちとか私らで食べるから。』
『なら、安心です。』
『てゆーか、あいつら何も話聞いてねえ。』
『良いのよ。ほら、あなたたちも。お腹いっぱい食べてね。』
『はーい、ありがとうございます。』
みんなで好きな物取りに行って、それぞれ料理を持って席に戻った。食べながら、みんなでテストの話などしていた。
『今回のテスト、初めてのテストなのに難しかったよね。』
『難しかった。鈴加ちゃんは、国際科だったよね。』
『うん。私と、白井君、美原君もだよ。』
『うち、保育科だった。実技テストは、うちの得意分野だったから問題なかったよ。』
保育科の実技テストは、ピアノで童謡曲を演奏することだった。
『矢野さん、ピアノ弾けるのすごいね。』
『ありがとう、小さい頃からピアノ習いに行ってたお陰かな。テスト余裕だった。』
『ふふ、美幸はすごいのよ。』
『何で、鈴が得意気なんだよ。』
『別に、良いじゃん。』
『立花君、うちら友達だから良いの。』
『立花と矢野は、仲良いのか。』
『そんなんじゃねえよ。鈴と家が隣だから、隣に遊びに来てる、矢野と会った時に少し話すだけだ。』
『そんなこと言って、美幸のこと狙ってんじゃないの。』
『違うわバカ。』
『うち、白井君とも話したことあるよ。』
『そうだな。科学の授業で実験の時に、班が一緒になったことあったな。』
『うん、白井君すごいの。テキパキ動いてた。』
『白井、お前、真面目に受けろよ。』
『受けてるよ。』
『人のこと言えるの。灰人は、こないだ実験で火事になりかけて怒られてたんだから真面目にしないと。』
『あら。』
『あ、ゆき姉さん。』
『ふふ、灰ちゃん。』
『あはは。』
『ちょっと、来なさい。』
微笑んでいた島田さんはそう言って、奥の部屋に立花君を連れて行った。二人が入ってすぐ、島田さんの叱る声が聞こえた。
『もう、灰人は。』
少しすると、二人は部屋から出てきた。立花君も戻ってきてビュッフェを楽しんでいると、あっという間に時間は過ぎていった。
『はい、みんな。私たちで作った、オリジナルのケーキよ。』
『美味しそう。』
『フルーツ、いっぱい入ってる。うち、好きなの。』
『なら、良かった。』
『もう一台あるから、遠慮せず食べてね。』
『もう一台って。』
『あのね、ホール状のケーキは何台って数えるの。切り分けた物は、何個とか何ピースって数えるのよ。』
『そうなんだ、初めて知った。』
『覚えておいて、得はあんまりないけど損はないわよ。』
『はーい。』
『ほら灰人、拗ねてないで食べな。』
『分かってるよ。』
みんなでお腹いっぱい食べて、その日はそのまま解散した。僕、立花君と西田さんは、お母さんと島田さんに送ってもらうから待つことになった。
『またな。』
『鈴加ちゃん、またね。』
『うん、またね。』
『店長さんも、島田さんも、今日はありがとうございます。』
『良いのよ、たまにはこういうのも楽しいでしょ。』
『はい。』
白井君と矢野さんは、帰って行った。店に戻ろうとした時、向こう側の歩道を見ると知り合いがいた。
『あ。』
『どうしたの。』
『あれ、見て。』
『あ、鴇野君と早田さん。』
『何だあいつら、デートか。』
『そうなのかな。』
『違うわよ、今日は委員長たちは会議があったはずだから。その帰りじゃない。』
『なるほどな。』
『でも二人とも、こっちなんだね。知らなかった。』
『早田さんは、こっちの方なの。たまに、電車で見かけるもの。』
『でも、おかしいな。』
『ん、何が。』
『鴇野は、こっちじゃない。黄神の方だ。』
『反対じゃない。』
『やっぱり。』
『どうなんだろうね。』
『ほら、みんな。早く中に入って。』
『はーい。』
待ってる間、三人で今日のことを話したりしていた。
『あの二人、付き合ってるのかな。』
『気になるな、鴇野に聞いてみるか。』
『やめなさいよ、そういうの良くない。』
『そうだな。でも、気になる。』
『私も。』
『あはは。』
『まあ二人のことは置いておいて、今日は楽しかったね。こうやってずっと、毎日遊べたら良いのに。』
『そうだな、無理だけど。』
『分かってるわよ、言ってみただけ。』
『俺たちも、高校生になった。もうすぐ、大人になるんだからしっかりしないとな。』
『そうだね。』
『一番、子供っぽい灰人が言うのは変だな。』
『俺も、大人の階段を登ってるんだよ。』
『バカじゃないの。』
三人で話しているうちに、母さんたちは片付けが終わったようで、僕たちはそれぞれ家に帰った。帰りの車の中、母さんと話していた。
『陽太、すごく楽しそうで母さん嬉しい。』
『ありがとう。』
そう言いながら、僕は中学時代の嫌な記憶を思い出していた。
『陽太、あの子たちはあなたの支えになってくれる。大切にしなさい。』
『うん。』
『あの事も、乗り越えないとね。』
『…。』
返事が出来なかった。母さんはそれから、何も言わずにいてくれた。僕は外を眺めていた。窓越しに聞こえる、道路を走る車のエンジン音、車内で小さめの音量で流れるラジオ。少し前に、流行った曲が流れていた。それを聴きながら、僕はいつの間にか寝てしまった。母さんの呼ぶ声で起きたら、家の前に着いていた。
『着いたわよ、今日は疲れたでしょ。』
『うん、ありがとう。』
『お風呂入っておいで、母さん車停めて来るから。』
『うん。』
お風呂で湯船に浸かりながら、僕は今日のことを思い返していた。テストは大変だったけど、すごく楽しい一日だった。あの頃では、考えられない日々を過ごせている。お風呂を出てリビングに近付くと、父さんと母さんが話す声が聞こえた。
『あの子、まだ気にしてるみたいなの。』
『仕方ないさ、時間がかかることだ。』
『そうね。』
『陽太が、一番しんどいんだ。俺たちが支えてやらないとな。』
僕は気付かれないように、そっと階段を上り、自分の部屋に行った。ベッドに入った僕は、目を閉じて無理やり寝ることにした。
『白井君、おはよう。』
『美原か、おはよう。』
『もうすぐ、テスト始まるね。』
『そうだな、美原は自信ないのか。』
『ちょっと不安かな。』
『そうか。』
『白井君は、大丈夫なの。』
『いや、全然大丈夫じゃない。』
『そうだよね、科目が多いから覚えること沢山ある。』
その日からの授業では、テストに出る所や大事な所を重点に置いて、授業をしてくれるようだ。
この学校の中間テストは、他の学校とは違う所がある。五科目と、選択授業の二科目も追加されている。
『おはよう、美原君、白井君。』
『おはよう、鴇野君。』
彼はこのクラスの学級委員長、鴇野霞君
『話の腰を折って悪い、話が少し聞こえてな。』
『良ければ、僕が勉強教えようか。』
『良いの。』
『良いよ、いつでも頼ってほしい。』
『ありがとう。』
『鴇野君おはよう。』
『早田さん、おはよう。』
『白井君も、美原君もおはよう。』
『おはよう。』
『おはよう。』
彼女はこのクラスの副委員長、早田遥香さんだ。
『早田さん、どうかしたの。』
『いえ、挨拶しただけよ。』
『そうか、今日も頑張ろう。』
『ええ。』
『それで、二人共どうかな。』
『鴇野君が、大丈夫なら。』
その時、鴇野君の後ろにいた早田さんが、何かを訴えるような目でこちらを見ていた。それに気付いた、僕と白井君。
『鴇野、悪い。他の奴と勉強会する予定があったの忘れてた。』
『そうか、なら仕方ないな。』
『ごめんね。』
『鴇野、悪いな。』
『気にするな、また何でも言ってくれ。』
『ありがとう。』
『ああ。』
『鴇野君。』
『早田さん、どうした。』
『話が聞こえていたの。約束してる人がいないなら、私に勉強を教えてほしいんだけど。勉強会、しましょ。』
『そうだな、良いぞ。』
『ありがとう。』
早田さんは鴇野君と歩きながら、僕達の方を振り向いて、軽く会釈して自分の席に戻って行った。
『はーい、ホームルーム始めますよ。自分の席に戻ってね。』
テスト前週間、暗記することが多く僕は悩んでいた。
お昼休み、いつもの四人でご飯を食べていた。
『ねえ皆で、明日勉強会しない。』
『良いな、暇だったんだよ。』
『あんた、遊ぶわけじゃないの。』
『俺も良いぞ。』
『明日は、俺も白井もバイト休みだからな。』
『僕も大丈夫。』
場所をどこにしようか、話していたがお昼休みが終わったため、続きは、放課後にすることになった。
『おい、行こうぜ。』
『うん、白井君も。』
『そうだな。』
放課後、僕達は四人で帰っていた。勉強会の場所を、どうしようかと話していた。
『んー、どこでしよう。』
『長時間、いれる場所ってあんまりないよな。』
『そうだよね、迷惑かかるから。』
『俺の家で、しないか。』
『白井の家か、良いと思う。』
『私も、行ってみたい。』
『僕も、行きたい。』
『そんなに、楽しい所じゃないけど。決まりだな。』
白井君の家で、勉強会することが決まった。その日は帰ることになった。紙野駅で、朝十一時集合だ。その日、そのまま解散になった。翌日の朝、僕は紙野駅に向かった。電車の中で、声をかけられた。
『美原、おはよう。』
『立花君、おはよう。同じ、電車だったんだ。』
『俺も乗った時は、気付かなかった。』
『僕も、びっくりした。』
立花君と一緒に、紙野駅の前に向かうと西田さんがもう待っていた。
『美原君おはよう。』
『おはよう西田さん。』
『灰人と、一緒だったんだ。』
『おはよう。』
『おはよう、昨日は帰りが遅かったって、おばさんから聞いたけど。』
『昨日は、バイト忙しかったんだよ。』
『そう、なら良かった。』
『ん、何のことだ。』
『別に。』
『言えよ、気になるだろ。』
『それより灰人、今日は勉強会なんだから。ちゃんと、色々と持って来たの?』
『持って来たぜ、ほら。ポテチに、ジュース。』
『このバカ。』
西田さんの、ゲンコツが立花君の頭を直撃した。
『痛っ、何だよ。』
『遊びに来たんじゃないのよ。』
『冗談じゃねえか、ほらこれ。』
西田さんにリュックの中身を見せた。
『ふん、初めから見せてくれれば良かったのよ。』
『ふん。』
二人が険悪になった頃、白井君が来た。
『悪い、少し遅れたか。おはよう。』
『おはよう、間に合ってるよ大丈夫。』
『白井、おはよう。』
『白井君、おはよう。』
『ん、立花と西田は何で怒ってるんだ。』
『別に。』
『別に、何もないよ。』
『そうか、とりあえず家行くか。』
『そうだね。』
『途中、コンビニがあるから、寄りたいなら言ってくれ。』
『私、寄りたい。』
『俺も、昼飯買わないとな。』
『そうだね、僕も買いたい。』
暫く歩きながら、談笑しているとコンビニの前に着いた。それぞれ、好きな物を買った。
『』
途中、野良猫を見つけて撫でたり、川で泳ぐ魚を見たり。歩いて行くと、白井君の家は
『着いた、二階の二〇四号室だ。』
『俺が先に行く。』
『灰人は、鍵持ってないでしょ。』
『あ、そっか。』
白井君に鍵を開けてもらい、家に入れてもらった。
『お邪魔しまーす。』
『邪魔するなら、帰ってー。』
『うるさい。』
『荷物置いて、好きな所に座ってくれ。飲み物、持って来る。』
『私も、手伝うよ。』
『ありがとう。』
『白井君、ありがとう。』
『あー、意外と遠かったな。』
『そうだね、でも寄り道したり楽しかった。』
『だな、ちょっと休憩。』
暫くすると、二人が飲み物を持って来てくれた。
『ありがとう。』
『俺は、このコップだ。』
『あ、ちょっと灰人。』
『一番大きい、コップは俺が使うって決まってんだよ。』
『バカじゃないの。』
『ははは、好きに取ってくれ。』
『疲れたね、勉強の前にご飯食べよっか。』
『鈴、たまには良いこと言うな。』
『たまには、って何よ。』
『そうだな、皆で食べるか。』
僕たちは、皆でご飯を食べて、少しゆっくりしていた。
『ご飯食べたら、眠くなってきたな。ふぁぁ…。』
『灰人、寝転ばない。寝たら、これだからね。』
『分かってるよ。』
『よし、勉強するか。』
四人で勉強を始めて、分からない所を教え合ったりしていると、二時間ほど経っていた。
『疲れたぁ…そろそろ、休憩しようぜ。』
『そうだな、おやつタイムにするか。』
『そう来ると思って、このジャイアントDXチップス買っておいたぜ。』
『立花、用意が良いな。俺も、大きいのあるから持って来るよ。』
『おう。』
『このチップス、チーズ味だ。』
『俺が、チーズ好きなんだよ。』
『持って来たぞ、俺のは川太郎のルビーDXだ。』
『定番だね、私それ好き。美味しいよね。』
『僕も、両方好き。』
『皆で食べようか、ジュースも置いておいたから好きな物入れて飲んでくれ。』
『勉強頑張った後の、コーラは美味いな。』
『灰人、おじさんみたい。』
『うるせえ。』
皆で楽しんだ後は、勉強を再開。十八時に解散になった。
『白井君、今日はありがとう。』
『ありがとう、楽しかった。』
『こちらこそだ、楽しかった。』
『また、来るからな。』
『いつでも来てくれ。』
『ありがとう、また月曜日に。』
『ばいばい、またね。』
『また明日な。』
『何で、明日なの。』
『俺と立花、バイト一緒なんだ。』
『そうなんだ。』
二人と駅で分かれて、僕も家に帰った。月曜日、教室に入ると立花君から声をかけられた。
『美原、おはよう。』
『立花君、おはよう。』
『おう、テスト今日から始まるな。』
『そうだね、皆テストだから、ちょっとピリピリしてるね。』
『まあ、中にはそうじゃないのもいるよ。ほら。』
『あ、吉川君。』
『あいつ、テストどうなんだ。』
『分からない。』
『一応、声かけとくか。』
『うん。』
『俺、行ってくる。』
『うん、後でね。』
彼は、同じクラスの吉川宗ニ君。身長は高めで、体格も良かったり。いつも寝起き顔なので、不良と間違われることもあるみたいだ。というのも、国語の授業でグループ分けがあり、そこで一緒になったことがあった。
『吉川、おはよう。』
『立花か、おはよう。どうした。』
『いや、今日テストだから。』
『あー、大丈夫。赤点、取らなきゃセーフだろ。』
『確かに。』
『だろ。』
僕は、自分の席で白井君と話していた。
『立花は、何してるんだ。』
『吉川君、寝てたから。テストだから、声かけたみたいだよ。』
『あいつは、優しいな。』
『そうだね。』
立花君が、こっちに来た。
『どうだったの。』
『たぶん、吉川は頭良いぞ。俺より。』
『そっか、なら良かったね。』
『そうだけど、悔しい。テスト、吉川より絶対高い点数獲ってやる。』
『吉川は、勝手にライバル認定されたな。』
『あはは。』
今日のテストは、三教科。国語、化学、歴史だ。対策は、一応してきたけど不安はある。
『はーい皆さん、座って下さい。ホームルーム始めます。』
テスト時の注意点や、励ましてくれたり。十分休憩を設けた後、テストが始まってしまった。予想以上に、難しかった。やっぱり、中学の時とは全然違う。テストは終了した。
『終わったね。』
『だな、帰るか。』
『うん。』
『白井、ちょっと。』
『どうした。』
『店長のAINE見たか。』
『グループAINEで流れてたやつか、山田さんが休んだって。』
『それだ、まだいなさそうだし今日来るか。』
『大丈夫だ、店長に聞いてみるか。』
白井君は店長にAINEしたら来てほしいと返信があったみたいだ。
『じゃあ行くか。』
『そうだな。』
『なーに、話してるの。』
『鈴か、今から俺達バイト行くんだよ。』
『あ、そうなんだ。白井君、頑張ってね。』
『俺のことも、応援しろよ。』
『え、灰人いたんだ。気付かなかった。』
『おい。』
二人は、バイトに向かった。僕と西田さんも、それぞれ家に帰った。テストは続き、二日目は数学と英語。三日目は、選択科目のテストだ。行われる、教室に移動になった。
『俺は、体育科だから行って来るぜ。』
『頑張ってね、そっちもな。国際科だろ。』
『うん、頑張る。』
一限目は、体育科と国際科のペーパーテストだ。説明しておくと、体育科は、主に保健や人体の仕組みなどを勉強している。実技演習などもある。国際科は、英語だけでなく色んな国の言葉を、ちゃんと口で話せるようにする。異国文化を理解する科目でもある。そしてこちらも、実技がある。担当の先生は元CAで、色んな国で得た知識や経験がある。どの選択科目も、実技テストがある
『実技の練習、土曜日も、昨日もちゃんとしたけど不安。』
『この学校のテスト、難しいよな頭痛くなる。昨日も、勉強してたから眠くて。ふぁぁ…。』
『はい、おはようございます。白井君、欠伸してるの見たわよ。』
『ごめんなさい。』
そう言って教室に入ってきたのは、国際科担当の菜月薫先生だ。
『皆さん、おはようございます。今からテストを始めるので、準備してください。』
一限目も終わり、二限目は実技テストだ。
『やっぱり、難しかったね。』
『そうだな、まだ一年だからと、簡単に考えていたが当てが外れたな。』
『僕もちゃんと、勉強してたつもりだったんだけど、異国文化が覚えきれてなかった。』
『俺は、中国語の所が難しかったな。日本の漢字と形が似てるから、覚えきれてない所があったんだよな。』
『そうだよね、僕も苦戦したよ。』
話しているうちに、休憩も終わり二限目が始まった。
『はい、まずは実技テストについてお話しします。』
実技テスト内容は、先生が外国のお店の店員さん役をする。買う物は何でも良いから、店員に欲しい物を伝えて、ちゃんと会話をして、買い物をすることが合格条件。
『では出席番号順に呼ぶので、隣の二年二組の教室に来て下さい。私がいない間は、正野先生がここにいるので、質問があれば正野先生にお願いします。』
正野圭太、二年生の指導役の先生だ。すごく怖い先生だと、先輩たちが話しているのを聞いたことがある。
『皆さん、初めまして。正野といいます、何か分からないことがあったら、いつでも。』
そう言った正野先生は、体格が大きめで身長が高い。髭が生えていて、目が大きく、目力が強いため怖い印象が強い。菜月先生は、準備のため隣の教室に向かった。五分後に、出席番号順に来るようにと言われた。そして実技テストは順々に進み、今期の中間テストは今日を以って終了した。
『やっと、終わったな。三日間なのに、すごく疲れた。』
『そうだね、僕も疲れた。』
『よし、帰るか。』
『うん。』
『そこのお二人さん、テストお疲れさま。』
『西田、テストお疲れ。どうしたんだ。』
『これからね、テストのお疲れ様会しよう。』
『良いね、どこでするの。』
『ふふふ。なんと今日は、ゆき姉から店長さんに頼んでもらって、香織LuCafeを貸切にしてもらいました。』
『そうなの、母さん何も言ってなかったよ。』
『秘密にしてもらったからね。』
『学校終わったら、みんなで来てってAINEきてたよ。』
『僕は大丈夫だよ、白井君どうかな。』
『今日はバイトも休みだし、予定も空いてるから大丈夫だ。』
『そう、良かった。』
『美原君については、店長さんに聞いてたんだけど。白井君はもしかしたら、来れなかったらどうしようって思ってたの。ごめんね、でも良かった。それに灰人も、今日はバイト休みなんだよね。』
『なら良かった、みんなで行けるね。』
『西田、気にしなくて良い。ありがとう。』
『うん、こちらこそ。』
『鈴、終わったらすぐ行くんじゃなかったか。』
そう言って、近づいて来たのは立花君だった。
『灰人、あーごめん。二人に、まだ話してなかったの。』
『だから、朝のうちに話しとけって言っただろ。』
『しょうがないでしょ、私もテストに集中したかったし。それに今、話せてるから問題ないのよ。』
『はぁ。』
『ちょっと待ってね、もう一人いるの。』
『あの、矢野です。』
『矢野か。』
『立花君、うちが行くのはダメだったかな。』
『いや悪い、そんなつもりじゃない。一緒に行こうぜ。』
『ありがとう。』
『鈴加ちゃんに誘われたの。うちも、参加してもいいかな。』
『もちろんだ、みんなでやろう。』
『うんっ、ありがとう。』
この子は、クラスメイトの矢野美幸さん。西田さんが、よく話しているクラスメイトの一人だ。全員が揃って、みんなで香織LuCafeに向かった。その間は、みんなで話をしていた。
『鈴加ちゃん、これから行く香織LuCafeって、すごい高いお店だったりしないの。』
『大丈夫、ゆき姉が言ってたよ。「安くて美味いがこのお店の売りだ!」って。』
『それなら良かった。鈴加ちゃんの従姉妹がいたり、店長は美原君のお母さんって話だし。うち、少し緊張しちゃって。』
『矢野さん、大丈夫だよ。僕のお母さんも気さくな人だし、西田さんの従姉妹の島田さんも優しいから。』
『そうだな。美原のお母さんは、一人暮らしの俺を気遣って、晩ご飯用にって肉じゃがまでくれたんだ。』
『おい、ちょっと待て。白井だけ、ずるいぞ。』
『あの日は、立花もバイトだっただろ。』
『う、それは。』
『はいはい。灰人が、肉じゃが食べたいって言ってたって、ゆき姉に伝えとくから。』
『ゆき姉に、会うのも久しぶりだな。』
『立花君、島田さんのこと知ってるの。』
『昔な、小さい頃、鈴と俺と遊んでくれてたんだよ。』
『そうなんだ、優しいね。』
『そんなことないぞ、怒ったら鬼になるからな。』
『鬼?』
『灰人、ゆき姉に言うわよ。』
『うっ。』
『あはは。ごめん、面白くて。』
『一緒に来て、良かったでしょ。』
『うん。』
香織LuCafeに到着して、扉を開けると母さんと島田さんが出迎えてくれた。
『いらっしゃい、みんな。』
『みんな、テストお疲れさま〜。』
『こんにちは。』
『はい、こんにちは。あら、二人は初めましてよね。』
『はい、初めまして。立花灰人っていいます。』
『う、うち。あの、矢野美幸です。よろしくお願いします。』
『灰人、敬語使えるんだ。』
『何だよ。』
『別にー。』
『ふん。』
『ご丁寧に、二人とも自己紹介ありがとう。じゃあ私からね、初めまして。美原香織です。ここの店長で、陽太のお母さんです。』
『美原君の、お母さん綺麗だね。』
『あ、うん。ありがとう。』
『矢野さんありがとう。嬉しい、おばさんサービスいっぱいしちゃおうかな。』
『母さん、恥ずかしいからやめて。』
『ふふ、次は私。矢野さん、初めまして。ここの副店長の、島田雪です。鈴ちゃん、灰ちゃんの従姉妹です。よろしくね。』
『よ、よろしくお願いします。』
『かしこまらなくても大丈夫だよ。』
『は、はい。』
『ゆき姉、それやめてほしいんだけど。』
『ん、何が。』
『その、呼び方だよ。』
『えー、何で。可愛いのに。』
『俺は、恥ずかしいんだよ。』
『灰ちゃん。』
『白井、やめろ。』
『あはは、君たち面白いね。』
店の中は、前に来た時とは雰囲気が変わっていて、今日だけ特別で、ビュッフェ形式で好きな料理を楽しめる。デザートも、頼めば出してくれる。
『すごいね。』
『母さん、雪ちゃんと二人で頑張ったもん。』
『ゆき姉も、店長もありがと。』
『ありがとうございますっ。』
『はーい、席はみんな、好きな所に座ってね。今日は貸切だからね。』
『はーい。』
話し合って、男子と女子で、分かれて座ることになった。みんな荷物を置いて、出してもらった水を飲んで一息ついていた。
『美幸、行こ。』
『うん。』
『俺たちも行こうぜ。』
『そうだな。』
色んな料理が置いてあって、トーストやパスタ、それにサラダ、肉料理などが置いてある。
『これ、俺たちで食べ切れないだろ。』
『ふふ、全部食べようとしなくて大丈夫。もし残っても、欲しかったら好きな物持って帰っても大丈夫だし、バイトの子たちとか私らで食べるから。』
『なら、安心です。』
『てゆーか、あいつら何も話聞いてねえ。』
『良いのよ。ほら、あなたたちも。お腹いっぱい食べてね。』
『はーい、ありがとうございます。』
みんなで好きな物取りに行って、それぞれ料理を持って席に戻った。食べながら、みんなでテストの話などしていた。
『今回のテスト、初めてのテストなのに難しかったよね。』
『難しかった。鈴加ちゃんは、国際科だったよね。』
『うん。私と、白井君、美原君もだよ。』
『うち、保育科だった。実技テストは、うちの得意分野だったから問題なかったよ。』
保育科の実技テストは、ピアノで童謡曲を演奏することだった。
『矢野さん、ピアノ弾けるのすごいね。』
『ありがとう、小さい頃からピアノ習いに行ってたお陰かな。テスト余裕だった。』
『ふふ、美幸はすごいのよ。』
『何で、鈴が得意気なんだよ。』
『別に、良いじゃん。』
『立花君、うちら友達だから良いの。』
『立花と矢野は、仲良いのか。』
『そんなんじゃねえよ。鈴と家が隣だから、隣に遊びに来てる、矢野と会った時に少し話すだけだ。』
『そんなこと言って、美幸のこと狙ってんじゃないの。』
『違うわバカ。』
『うち、白井君とも話したことあるよ。』
『そうだな。科学の授業で実験の時に、班が一緒になったことあったな。』
『うん、白井君すごいの。テキパキ動いてた。』
『白井、お前、真面目に受けろよ。』
『受けてるよ。』
『人のこと言えるの。灰人は、こないだ実験で火事になりかけて怒られてたんだから真面目にしないと。』
『あら。』
『あ、ゆき姉さん。』
『ふふ、灰ちゃん。』
『あはは。』
『ちょっと、来なさい。』
微笑んでいた島田さんはそう言って、奥の部屋に立花君を連れて行った。二人が入ってすぐ、島田さんの叱る声が聞こえた。
『もう、灰人は。』
少しすると、二人は部屋から出てきた。立花君も戻ってきてビュッフェを楽しんでいると、あっという間に時間は過ぎていった。
『はい、みんな。私たちで作った、オリジナルのケーキよ。』
『美味しそう。』
『フルーツ、いっぱい入ってる。うち、好きなの。』
『なら、良かった。』
『もう一台あるから、遠慮せず食べてね。』
『もう一台って。』
『あのね、ホール状のケーキは何台って数えるの。切り分けた物は、何個とか何ピースって数えるのよ。』
『そうなんだ、初めて知った。』
『覚えておいて、得はあんまりないけど損はないわよ。』
『はーい。』
『ほら灰人、拗ねてないで食べな。』
『分かってるよ。』
みんなでお腹いっぱい食べて、その日はそのまま解散した。僕、立花君と西田さんは、お母さんと島田さんに送ってもらうから待つことになった。
『またな。』
『鈴加ちゃん、またね。』
『うん、またね。』
『店長さんも、島田さんも、今日はありがとうございます。』
『良いのよ、たまにはこういうのも楽しいでしょ。』
『はい。』
白井君と矢野さんは、帰って行った。店に戻ろうとした時、向こう側の歩道を見ると知り合いがいた。
『あ。』
『どうしたの。』
『あれ、見て。』
『あ、鴇野君と早田さん。』
『何だあいつら、デートか。』
『そうなのかな。』
『違うわよ、今日は委員長たちは会議があったはずだから。その帰りじゃない。』
『なるほどな。』
『でも二人とも、こっちなんだね。知らなかった。』
『早田さんは、こっちの方なの。たまに、電車で見かけるもの。』
『でも、おかしいな。』
『ん、何が。』
『鴇野は、こっちじゃない。黄神の方だ。』
『反対じゃない。』
『やっぱり。』
『どうなんだろうね。』
『ほら、みんな。早く中に入って。』
『はーい。』
待ってる間、三人で今日のことを話したりしていた。
『あの二人、付き合ってるのかな。』
『気になるな、鴇野に聞いてみるか。』
『やめなさいよ、そういうの良くない。』
『そうだな。でも、気になる。』
『私も。』
『あはは。』
『まあ二人のことは置いておいて、今日は楽しかったね。こうやってずっと、毎日遊べたら良いのに。』
『そうだな、無理だけど。』
『分かってるわよ、言ってみただけ。』
『俺たちも、高校生になった。もうすぐ、大人になるんだからしっかりしないとな。』
『そうだね。』
『一番、子供っぽい灰人が言うのは変だな。』
『俺も、大人の階段を登ってるんだよ。』
『バカじゃないの。』
三人で話しているうちに、母さんたちは片付けが終わったようで、僕たちはそれぞれ家に帰った。帰りの車の中、母さんと話していた。
『陽太、すごく楽しそうで母さん嬉しい。』
『ありがとう。』
そう言いながら、僕は中学時代の嫌な記憶を思い出していた。
『陽太、あの子たちはあなたの支えになってくれる。大切にしなさい。』
『うん。』
『あの事も、乗り越えないとね。』
『…。』
返事が出来なかった。母さんはそれから、何も言わずにいてくれた。僕は外を眺めていた。窓越しに聞こえる、道路を走る車のエンジン音、車内で小さめの音量で流れるラジオ。少し前に、流行った曲が流れていた。それを聴きながら、僕はいつの間にか寝てしまった。母さんの呼ぶ声で起きたら、家の前に着いていた。
『着いたわよ、今日は疲れたでしょ。』
『うん、ありがとう。』
『お風呂入っておいで、母さん車停めて来るから。』
『うん。』
お風呂で湯船に浸かりながら、僕は今日のことを思い返していた。テストは大変だったけど、すごく楽しい一日だった。あの頃では、考えられない日々を過ごせている。お風呂を出てリビングに近付くと、父さんと母さんが話す声が聞こえた。
『あの子、まだ気にしてるみたいなの。』
『仕方ないさ、時間がかかることだ。』
『そうね。』
『陽太が、一番しんどいんだ。俺たちが支えてやらないとな。』
僕は気付かれないように、そっと階段を上り、自分の部屋に行った。ベッドに入った僕は、目を閉じて無理やり寝ることにした。
