未来と過去とイフがわかるお嬢様の学園生活

 私の肩に乗っているクリチェートが、
 耳元でささやいた。

「この状況、大丈夫なのか?」

 私は真顔で答える。
「大丈夫よ。
私に考えがあるの」

 私はカンツウォーネをまっすぐに見つめた。
「カンツウォーネ」

 自信ありげに、
 低く声を響かせる。
「君のやろうとしてること、
ぜーんぶ当ててあげるよ」

「やろうとしてること?」
 カンツウォーネは眉をひそめた。

 私は早速、
 彼女の『IF(もしも)』と未来、
 そして過去を読み取りながら答える。

「それだけじゃない。
 君がやってきたことも、
これからやるかもしれないことも、
全部全部当ててあげるわ」

 クリチェートが心配そうな声を上げた。
「おぬし、本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫も何も――カンツウォーネ、
君は自滅する。
……ううん、『カンツウォーネ』は偽名ね。
君、(うた)って言うんでしょ?」

「どうして、それがわかったの……?
あたし、どこかで名前を言ったかしら?」

「言っていないわ。
さあ、それより本題だ。
君は内通者を通して白薔薇学園の内情を知っている。
その名も――」

 言い終わらないうちに、
 カンツウォーネが言葉を挟んだ。
「あたしのことはいいわ。
……君は何者なの?」

「何者でもないわ。
本当のことを言っても信じてもらえないでしょうし。
……ううん、それどころか、君の内通者だって私を見たら羨ましがるか、
仲間に引き入れようとするかもしれないわね」

「……なら、君の肩に乗っているそのハムスターは、
何なの?」

 問いかけに対し、
 クリチェートが即答した。
「クリチェートだ。
時間調整の妖精なんだ」

 カンツウォーネの反応は、
 いかにもピンときていないといったものだった。