未来と過去とイフがわかるお嬢様の学園生活

 私はショートケーキが特に好きで、
 誕生日やクリスマスでなくても食べたいくらいだった。
 それから、もう一つ好きな食べ物がある。カツ丼だ。

「クリチェート、
この後一緒に定食屋に行かない?」

「急にどうしたんだ?」

「カツ丼が食べたいの」

「意外だな。勝恋は雰囲気的に、
カフェとかコーヒーショップに行きそうなイメージなんだが」

「そのイメージは何?」

「勝恋はあれだ。
コーヒーや紅茶が好きそうで、
それを楽しむような雰囲気がある」

「それは初めて言われたわ。
ちなみに、私は紅茶もコーヒーも飲めないの」

「意外だな……。
それより、あぶきの件はどうした?」

「あぶきの件って?」

「君が家を出ていこうとした前日、
駆け寄ってきただろう?」

 その言葉に、私はケーキを食べる手を止めた。

「それなら、
未来と『イフ』を見ながら、
暗闇を利用して建物の中に隠れたわ。
話しても無駄だってわかっていたもの」

「無駄って……あぶきと直接顔を合わせたら、
何かやばいことでもあったのか?」

「やばいってわけじゃないけど、
埒が明かないというか。
あぶきは私に『いてほしい』と言うけれど、
おばさんと薔薇子は『いてほしくない』と言って、
話がややこしい方向に進んでしまうでしょ。

それなら私から去って……もしあぶきがそれに不満なら、
私を探して追いかけてくるはずよ。
だって彼は私の通う学校を知っているのだから、
まずはそこを探すはずだもの」

「君の考えは読めないな」

 あのまま私があぶきと対面していたら、
 薔薇恋はもっと暴走して、
 私の能力をどうしていたことやら。
 最悪の場合、奪われていく『イフ』も見えた。
 それなら私から立ち去り、彼を拒絶した方が最善かもしれない。

 薔薇恋——私は彼女に、確実に嫌われている。
 幼い頃は、
 決してそんな関係ではなかったのに。