未来と過去とイフがわかるお嬢様の学園生活

 私は白薔薇学園の寮で過ごすこととなった。

 黒船家を追い出され、
 どこにも帰る場所がなくなっても、
 事情を話すと学校の先生は私を寮に入れてくれた。

 そもそも中学生は働けないし、
 一人暮らしもできない。

 金銭的に誰かしらが援助してくれるなら、
 私としてはそれで十分だった。

 寮の個室で荷物を整えていく。

 テーブルの上には、
 大好きなショートケーキが置いてある。
 コンビニで買ってきたものだ。

 今までは、病弱な「あぶき」への配慮として、
 彼の目の前で食べるのを控えなければならなかった。

 けれど、もうその必要はない。
 これで遠慮なくショートケーキが食べられる。

 これ以上の嬉しいことなんてあるだろうか?
 いや、普通にあった。

「勝恋、今日はやけに機嫌がいいな。
何かあったのか?」

 テーブルの上から、
 クリチェートがそんな私の様子を見守りながら声をかけてくる。

「何もないわよ。
ただ、ショートケーキが食べられる……本当にそれだけ」

「ショートケーキって、どこにでもある普通のケーキじゃないか?」

「一般的に見ればそうね。
だけど私にとっては、黒船家のためにずっと我慢し続けてきたものなのよ」