未来と過去とイフがわかるお嬢様の学園生活

「醜態って、
カンツウォーネ様になんてことを言っているの?」

 北島さんの口調からして、
 かなりイラついているようだった。

「醜態をさらす——」
 私が最後まで言い終わらないうちに、
 彼女は怒りをあらわにした。

 次の瞬間、
 どこからか剣が現れ、
 私へと向けられる。
 これが具現化ってやつだ。

「撤回しなさい。今すぐに」
「嫌だよ。そもそも、間違ったことは言っていないもの」
「カンツウォーネ様を侮辱するなんて許せないし、
理解もできない。
挽回のチャンスをあげるから、
その言葉を撤回して」

 北島さんは剣を突きつけ、
 鋭い視線を向けてくる。

 だけど、私はここで怯まないし、
 一歩も下がらない。

「撤回? 『醜態』って言葉を?」
「それ以外に何があるの?!」

 これくらいで怒るなんて。

 すると、私の肩に乗っていたクリチェートがささやいた。

「今のは、さすがに言い過ぎだと思うぞ」

「どこが? 事実を述べたまでよ」

「事実であってもなくても、言っていいことと悪いことがある。
ここは素直に謝ったほうがいい」

「謝るだなんて。これくらいでヒステリックになる方がどうかしているのよ」

「私たちにとって、カンツウォーネ様は偉大な存在なの。
間違ったりなんてしない。それを、醜態だなんて……!」

「何度言われても、私の答えは変わらないわ」

 その直後、北島さんが何度も剣で私を刺し、
 殺す未来が見えた。
——だから、私はとっさにそれをかわす。

 そうだ。私はいつでも未来も過去も、
 そして『もしも』の世界すら見ることができる。
 どんな緊急事態だろうと絶対 回避できるのだ。北島さんが次に何をするのかも見えているし、
 彼女が何をしようと無駄だということも分かっている。

「痛い目を見なさい!」
 攻撃を交わされた北島さんは、
 剣を握りしめたまま悔しそうにこちらを睨んでいた。