いじめられっ子はいじめっ子にストーカーされる

 私は稲光家ではなく、
 覗水(のぞみず)家の養子となった。

 そして、
 進学先も白薔薇学園ではなく、
 聖エッチェレンザー学園を選んだ。

 私の能力は「夢と現実の出来事を入れ替える」こと。

「私が稲光家の養子になり、白薔薇学園に入る」という誰かの夢を、
 私が現実と入れ替えた。

「私が覗水家の養子になり、聖エッチェレンザー学園に入る」という誰かの夢を、
 私が引き寄せた。

 誰も見ていない夢は入れ替えられないけれど、これでいい。

 稲光らい光ちゃんとは、
 今も仲良しのままだ。

 学園ではりつこちゃんや亜咲百合(あざきももか)ちゃんと仲良くなり、
 三人で過ごす時間が増えた。

 りつこちゃんも覗水家の養子で、
 覗水くぼ君とは親戚にあたるらしい。

 これで平和な学園生活が送れるといいな。

……けれど、私には平凡な学園生活のほかに、やらなければいけないことがあった。

「ベンデッタ、
この学園に君の双子の姉がいることが分かったよ」

 スクールバッグから顔を出したピンクのカバの妖精のニーフェの言葉に、
 思わず聞き返してしまう。

「それ、本当……?」

 私には、3か月年上の双子の姉せおりがいる。
 彼女は異世界では「グラーベ」と呼ばれていた気がする。

 かつて私たちは、
 異世界で一緒に冒険していた。
 けれど、ある日離れ離れになってしまったのだ。

 そんな姉が、
 まさか人間世界の学園にいるなんて信じられなかった。

 お姉ちゃんは私と違って、人間があまり好きじゃなかったり、
 すごく現実的な性格をしている。

 だからこそ、
 異世界の魔法の才能を持つ者だけが通える「魔法学園」にでも入学しているんじゃないかと思っていたのに。

「せおりって名前を聞いたんだよ」