ひまわりが咲く場所で

「おい、川上! 大丈夫か!?」

頭の上で、瑠唯の焦ったような声が響く。
いつもの冷淡な表情はどこへやら、彼は目を見開いて、莉緒の肩をがっしりと支えていた。

「あ……うん。ごめんね、相葉くん。ちょっと、立ちくらみしちゃって……」

莉緒はいつものように「完璧な笑顔」を作ろうとしたけれど、視界がまだチカチカとして、上手く唇が動かない。息が上がってしまい、言葉が途切れ途切れになる。

「顔、真っ白だぞ。無理して喋るな」

瑠唯は迷うことなく、莉緒の腕を自分の肩に回し、その小さな体を慎重に支え上げた。

いつもなら、女子に触れることすら嫌がる彼のはずだった。けれど今の瑠唯の手のひらは、驚くほど強くて、そしてどこか微かに震えているように莉緒には感じられた。
近くの小さな公園のベンチまで、ゆっくりと歩く。
5月の夕暮れ。沈みかけた太陽が、長い影を地面に落としている。

ベンチに座り、冷たい夕風をゆっくりと吸い込んでいるうちに、莉緒の視界は次第にクリアになっていった。

「ごめんね、びっくりさせちゃった。最近、ちょっと寝不足が続いてたみたいで」

莉緒は小さくなって謝った。お昼に彼の引き出しの中の写真を見てしまい、拒絶されたばかりだったから、余計に気まずさと申し訳なさが募る。

瑠唯は莉緒の少し隣に腰掛け、きゅっと自分の膝の上で拳を握りしめていた。

彼はじっと地面を見つめたまま、しばらくの間、何も言わなかった。ただ、その呼吸は莉緒よりも荒く、まるで自分が倒れそうだったかのように肩が揺れている。

「……お昼は、悪かった」

沈黙を破ったのは、瑠唯の方だった。
ぽつりと言い放たれた言葉に、莉緒は驚いて顔を上げる。

「え……?」

「怒鳴るつもりはなかったんだ。ただ、その……」

瑠唯はそう言って、夕日に染まるグラウンドへ視線を逸らした。その横顔は、昼間の冷たさは消え失せ、痛みを堪えるような、ひどく脆い少年のものだった。

「あの写真のやつ……俺の、姉貴なんだ。もう、いないけど」
「俺の話、聞いてくれるか?」
静かな声だった。
「うん」