めいくあっぷあーてぃすと!

「うう、やっぱり上手くできない……」

放課後の誰もいない教室。手鏡を覗き込んだ私は思わずため息をついた。
文化祭の劇のヒロイン役に選ばれてしまったものの、私、星(きらり)は自分で自分のメイクすらできない地味子だ。はみ出した口紅のせいで鏡の私しはまるでお化けみたいになっている。

「……下手すぎ、見てられないんだけど」

呆れられたような声に振り返ると、そこには前髪を長く伸ばした陰キャ先輩__律が立っていた。

「邪魔」

そう言って、先輩が自分の前髪をサッとピンで留めた瞬間。
隠されていた国宝級の美形な素顔と、プロの鋭い瞳があらわになった。
視線の先には、至近距離にある綺麗な顔。
あまりの至近距離にパニックになり、反射的に体を引こうとした。

「じっとしてて。……俺が、お前を最高に可愛くしてやるから」

耳元で低く響いた声に、私の心臓が大きく跳ねた。
視線の先には、至近距離にある綺麗な顔。
あまりの至近距離にパニックになり、反射的に体を引こうとしてしまった。

けれど、すかさず冷たくて綺麗な指先が、私の顎をグッと上に向かせる。

「まつ毛、めちゃくちゃ長いな……。うん、きらきらして可愛い」

今ここにいる先輩は、普段のツンんとした態度の先輩じゃない。
メイク道具を持った先輩の口から、息をするように溢れ出す甘い言葉。

真剣な眼差しで私の唇を見つめる律先輩の色気に、私は出会った瞬間から完全に狂わされた。