「お前がいかに公爵令嬢だろうが、お前みたいなブスと婚約をするなんてのは、うんざりだ!やはり、ナンシーのようにキレイな女じゃないとな!」
こんな暴言を吐いて私と婚約破棄をしたのは、私の婚約者であるアルベルト侯爵令息。
「そんなことをしたら問題になるのですが……」
「黙れ!それがどうした!ブスに権利なんかねぇんだ!公爵家もこんなブスをよこすなんて、俺を侮辱しているんだ!」
酷すぎる……
私が悲しみのあまり涙を流すとさらに激怒して、
「泣けばいいってものじゃないんだ!ブスだと弁えて、お前から申し訳ないから婚約破棄をしますって言え!」
私はもう婚約なんてしたくないので、自分から婚約破棄をすると宣言をしてしまった!
それについて激怒したのはお母様である!
「馬鹿ね!相手の落ち度があるのだから容赦なく慰謝料をふんだくれるのに、何で自分から言い出すの!相手の有責度が下がって損をしたじゃない!何考えているのマヌケ!」
お母様の言うことはもっともだけど、そこまでシビアに考えられませんでした。ショックだったので……
私が泣いているとお父様が現れて……
「まぁまぁ、もちろん侯爵殿には賠償してもらうけど、彼自身と私は良好な仲であるし、がめつく要求しなくても、公爵家は困っているわけでは無い。流石にアルベルト殿には反省してもらいたいがね!」
「あなたは甘いわよ!お金にせよ何にせよいくらあっても困らないのよ!それだけあれば税も安くすることができて、領内のためでもあるのよ!」
「うぬ……それももっともだが、侯爵家との仲がこじれるのもまたリスクでは無いか!」
「それがどうしたというの!相手が悪いのに公爵家ともあろうものが格下の雑魚に卑屈になってどうするのですか!」
こうして両親が言い合いになる始末……
これもこれも私が間抜けのせいである!そしてブスなのがすべて悪いのである!
何故なら妹のカトリーナは私以上に勉強ができず、ドジにも拘らず、可愛いからってことでチヤホヤされるのだから!
私は言い争いになっている両親に対して申し訳ない気持ちが高まり過ぎて思わず口走ってしまった!
「お父様お母様、私がブスに生まれたのがすべて悪いんです、もう申し訳ないので家を出て死のうと思います!」
するとお父様が激怒して、
「馬鹿者!そこまで傷つけていたとは、もうアルベルトめ許さん!公爵家の名にかけて成敗してくれるわ!」
「あなた落ち着いて下さいな、そんなことをしたら王家にも睨まれてろくなことはありませんわ!やはり金だけふんだくるのが貴族の流儀ですわ!」
……お父様もお母様も私を心配してくれるのは分かるのだが、私の気持ちはきっと分かってもらえないと思った。何故ならお二人とも私と違って容姿も優れていて頭もいいからだ!
私が思わず飛び出しそうになった時に、お母様が止める!
「ミリア!落ち着きなさい!ブスだからってどうしたというの!女はオシャレでキレイになれるのよ!」
「いいえお母様嘘ですわ!そんなものがあるのでしたらこの世にブスなんていないことになるじゃない!私はブスって言われたのよ!」
「……そんな下等な男にメソメソするんじゃありません!」
「そうだぞ、母さんの言う通りだ!お前は世界一可愛いんだ!」
お父様の言うことは完全に気休めである!そしてお母様みたいな厳しい姿勢に私はなれない!
やはり私は駄目なんだ……これもブスなのがすべて悪いんだ!
私はもういっそ自分の顔をナイフで傷つけてしまいたいと思い、食卓にあったナイフで自分を切ろうとしたら、妹のカトリーナが丁度現れて、
「お姉様何をしているの!」と止めてくるでは無いか……
いつもボケボケしているカトリーナにそんな激しい一面があるとは思わず、私は毒気に抜かれて、茫然とするのであった……
「カトリーナでかした!」
「ミリア……少し落ち着きなさい……」
と両親にも心配させてしまい、私が馬鹿だと思うだけなのであった……
こうして私は部屋に戻ってボケーっとしていたのだが、侍女が監視についている。
きっとお母様が、今私が不安定だから見張ってろと命じたに違いない……
私はひたすら泣いてはウジウジしていたのだが、そこに現れたのが私のおじい様の代から働いていて、今やメイド長となっている、私からしたらおばあちゃん同然に慕っている人が部屋に来たのであった……
「ミリア様、私もそれなりに長く生きているので、ある噂を聞いたことがあります。最近民間にて、誰であろうが美女にすると評判のカリスマ美容家がいるそうです、良かったらそのものを呼んだらいかがでしょうか?」
「……どうせ上手く行きませんわ……」
「確かに保証はできません、しかしそのもの、その誰でもできるという評判を維持したいでしょうから、そういう民間のもののエネルギーは、ある意味貴族達とは別の強さがあるのもまた事実!それに賭けて見ましょう!」
なるほど、おばあちゃんの知恵というか、メイド長の言うことはいちいち妙に説得力があるので、私はお父様に頼むことにした!すると……
「よし、すぐにでも呼ぼうでは無いか!」
と言ってくれたがお母様が……
「本当に信用できるのかしら?もしも役に立たない上に金だけ要求するようならば、遠慮なく潰してしまいなさい!」
と疑い深い!
私はお母様ほど過激では無いが、疑っているのは分かるが、メイド長を信じて強くお願いをした。
するとお父様が頼んでくれたのか、本当に来ることになったのであった!
そしてやってきたそのカリスマ美容家だが、雰囲気は派手というよりは、何て言うかどこか冷たそうな人というのが第一印象だ。
ある意味お母様よりも厳しそうな雰囲気すら感じる……!
「あなたちゃんとできるのでしょうね?」
などとお母様が疑い深く尋ねるも、
「公爵夫人恐れながら申し上げますが、私の仕事が失敗したら、今のように疑ってらっしゃることですし、きっと貴女は報復として、役立たずだと言う噂を流すでしょう、ならば私の商売は破滅です。できるかできないかではなく、やる以外無いのです。その点失敗してもまだ余裕がある貴族の方とは違うのです!」
などと負けずに言い返す!す……凄い。
流石のお母様も……
「……もっともね、ならば期待しているわ!」とだけ言って引き下がる。
お母様がこんな態度を取ったのはほとんど見た事無いので凄いと思った……!
そしてお父様が「よく来てくれた、娘を頼むぞ!」
などというと、美容家は……
「恐れながら、私の商売も少し有名になり、こうなると下らないことに敵も増えるというもの、今回はこの仕事を成功させることで、別に公爵家に後ろ盾になって欲しいとまではいいませんが、繋がりを作って、敵の妨害を阻止したいのです、ということで、報酬よりもそう言ったことを期待してきました!」
何かこの人は凄い……
イチイチものの考えが徹底している!
私もそう思っていたがお父様も何か圧倒されたらしく……
「わ……分かった娘のミリアの悩みを解決したら、公爵家として君を助けられる範囲で協力しよう!」
「ありがとうございます」
何か凄い仕事の話をしているなぁと私は思ったのであった……
そして私の元に来て、「ミリア様お初にお目にかかります、私は卑しき民間のものなので、できるだけ礼儀正しく努めますが、貴族の礼儀など知りませんので、その点で失礼があったらご容赦を!」
などと挨拶される。私はとりあえず、
「あの……お名前は何というのでしょうか?」
「こ……これは失礼しました!自分では自分の名前を知っているので、つい失念していました、それに貴族の方が私の名前に興味を持つなどと思わなかったもので!名前はコーデリアと申します!」
こうしてコーデリアさんに色々美容を教わることになった。
「ミリア様まずは何故私を呼んだのか事情を教えてください!」
「それ必要なのでしょうか?」
「必要ですね、後で理由は申し上げます!」
「分かりました」
こうして私が婚約者にブスだと言うことで振られたことなど、今までのことを、少し恥ずかしいし嫌だったけど話した。
「なるほど、その件については、私の理論を説明したいと思います!」
り……理論!?難しいことなら嫌だなぁと思っていると……
「まず残念ながら男性という種族は、オシャレをしたキレイよりも、何もしなくてもキレイというものを好む人が結構いるということです。特に男性度が高い人ほどそうですね、彼らの理想は脱いだキレイな女ですからね」
「そ……そうなんですか?」
「そうですね、しかしすべてがそういう男性ばかりではありませんし、そこまで振り切れた男性は流石に少数です!」
「なるほど……」
「しかし問題はそうでは無いのです」
「どういうことでしょうか?」
「裸のキレイな女がいいと思う男性ですら、ブスな女を嫌がるのは、違うもう1つの理由があるからなのです」
「ブスだから以外にもあるのですか?」
「この辺りその前に前提を話しておきたいと思います、そもそも女性にブス何て言うタイプの人間に限って、オシャレしてキレイになった女性にあっさりと騙されます、これは言い切れます、そうではなく、裸のキレイな女がいいなんて思うタイプの男性度が高い人は、仮に女を選ぶ時に、キレイかブスではなく、自分のタイプかどうかという観点で考えるからです!」
「む……難しいしどう違うのでしょうか?」
「簡単です、ようはキレイかブスかなんて究極的には主観じゃないですか!まして裸のキレイな女がいいってタイプは、周りがキレイかどうかではなく、自分がキレイだと思ってテンションが上がるかどうかを重視しているのでそうなります」
「なるほど……」
「さらに頭がいいのかどうかは知りませんが、そのアルベルトなる貴族と違い、仮に女を断る時に、ブスだからって言う無礼と、自分の好みじゃないからって断るのと、どっちがマシでしょうか?間違い無く後者ですよね、ってことで、まとめると……」
うーん複雑だなぁ!私は少し困っていたのでまとめてくれて助かる!
「1、女をブスとかいっちゃうタイプに限って、オシャレすれば弱い!
2、女を好みかどうかで考えるタイプほど裸のキレイな女がいいっていうけど、そういうのに振り切った人は男性でもそこまでいない」
「つまりオシャレをすればいいってことですか?」
「そうなるけど、実はここまでの理由はオシャレをする理由じゃないの!」
「どういうことかしら?」
もう言ってることが色々ありすぎるけど、この人が凄い色々考えていることだけは分かった!
「先ほども少し触れたように、裸のキレイな女がいいってタイプであってもブスを嫌がる理由があるのよ、それはね、卑屈な女は嫌だと言う当たり前の理屈……!」
「あ……」
「失礼ながら分かったようですね、卑屈な女と付き合いたいなんて男は、自分も卑屈だからそれしか釣り合わないと思っている情けない男か、または卑屈な女ならば思い通りにできると思っている酷いド畜生かの二択で、卑屈であることは良くないんですよ。オシャレとはその自分何かどうせブス、その呪いを弾くための解呪アイテムなのです!」
「それって本当に大事なんですか?オシャレで最強とかなれないんですか?」
「なれません、そこまで世の中甘くありません、しかし自分に呪いをかけるというのは想像以上に自分の魅力を貶める行為、それをオシャレというアイテムだけで解呪できるのならば、それはみんなが思っている以上の素晴らしい効果なのです!」
「そ……そういうものなんですね!」
「そういうものです、そしてそのためのオシャレの理論もちゃんとあります!」
もう難しくて頭パニックになりそうだが、何とか頑張らないといけないんだなと私も何か分かった!
「まずその解呪方法のオシャレですが、大きく分けて2つの方法があります」
「そうなんですね!」
よく分からずに相槌を打ってるなぁと自分で思った!
「1つ目はこっちはお勧めできませんが、ようは自分がキレイだと極限の自己満足をすることで呪いを解呪する方法です、しかしこれは間違えると傲慢に繋がります、私は世界一美しいのだからみんな周りはブスみたいな!」
「な……なるほど、いっそのことそれくらい思える風になってみたいですけどね」
「冗談でならいいのですが、実際になってしまったら、周りから敵視されると思いますよ!」
「そうですね……」
「もう1つは先ほどキレイは主観と述べましたけど、今この貴族社会の周りで、どういうものがオシャレとされているか、ようは流行などがそうなのですが、大勢がキレイだと思う常識というものはあるわけです。特に女性の間では……それをちゃんと徹底的にするオシャレ、これにより、私もちゃんとキレイの仲間であるとすることで、傲慢にはなりきらないが、卑屈もないみたいな立ち位置が取れるはずです!」
「意外と普通なことなんですね……」
「問題はその普通を徹底できるかです、その微差で、私は普通を頑張れたのだから、もう卑屈になる必要は無い!これが私の提唱するオシャレ理論です!」
「な……なるほど!では何故最初に殿方の心理などを述べたのですか?」
「それは、それを述べないと、つい傲慢な自己満足のオシャレに走って、それでどれだけ着飾っても裸のキレイな女のほうがいいって言い出す男性に打ち負かされてショックを受けるので、その方向性はやめたほうがいいって伝えたかったからです!」
「なるほど……」
こうして私は徹底的に貴族の流行を学ぶことになった。
今まで何となく知っていた程度を、このコーデリアさんと一緒に学んだのであった。
コーデリアさんといえど、貴族の文化に精通しているわけではないので一緒に学んだのだが、それが良かった。
何故なら流行とはすぐに変わるものでその都度対応しないといけないが、それが大変であればあるほど、追うのが嫌になるので、楽に追う方法というのをコーデリアさんの学び方を学ぶことで、何となく分かってきたからだ!
コーデリアさんが言うには、一番注目すべきは王女様、次に貴族内で最もオシャレと有名な令嬢であるとのことである。
ようは王女様が推奨もしくは禁止したものを貴族が逆らうことは難しく、次にみんながオシャレだと思う人を真似るのは、流行として自然な心理だからだそうだ!
なるほどなぁ……
こうして私はいつのまにか、自然に楽にオシャレができるようになった。
しかしコーデリアさんは厳しかった!
「これを自然にごく当然のようにできるようになれば、卑屈になることは無いわ!」
「何か悟りの世界みたいですね!」
「そういうつもりはないけど、意識している程度ではまだまだ、食べ物を食べる、何なら呼吸レベルに自然にできれば、もう卑屈に囚われることは無いはずよ!」
少しずつ私はなじんできたけど、こうなるといつのまにか自分がブスかどうかとか気にならなくなってきた……
自然体が一番ってやつに自然に慣れてきたと言うか何というか……
すると、口の悪い令息達の噂が聞こえてきた……
「最近正直言って、ブスだと思っていた、ミリア公爵令嬢、言うほど悪くないと思えないか?」
「はぁ?お前マジかよあんな……いや案外そうかもな!」
「どうしたんだろうな急に!」
「さぁ知らねぇよ!」
ハッキリ言って言ってることは最低だと思うけど、私がブスじゃないと他人まで思っているのだなと思ってますます自信がついてきた!
なるほど、独りよがりなオシャレじゃないからこそ、こういう時自信もつくのだなってことで、コーデリアさんに来てもらって良かったと、お父様とお母様に告げると、
「なるほど、ならば公爵家公認にしていいな?」
「そうね……これからも付き合っていいと思いますわ!」
とお父様とお母様も認めた!
コーデリアさんも「光栄ですわ、これで余計な妬みから来る妨害を、公爵家に威光で弾くことができます、そう思えばこの仕事安いものでした!」
ちなみにアルベルトだが、父親の侯爵に激怒されて勘当済みだったのだが、突然現れて意味不明なことを言い出す!
どうやら浮気相手のナンシー男爵令嬢にも捨てられたらしく、
「おいもう一度婚約してやってもいいぞ、俺の事が好きだったんだろう?」
私はあまりにも呆れ果てて、こんな超絶馬鹿の戯言に傷ついた以前の自分が恥ずかしい気持ちになったのであった。
当然無視して歩き去りましたが、後ろでギャーギャーほざいていたが、他の貴族からも笑いものにされたようで、もはや社交界に出入り禁止を完全にくらったのであった……
自業自得よね……
そしてお母様が言う。
「貴女の評判以前よりも上がったから、そろそろ誰か婚約とかする気ないの?」
しかし私は、
「嬉しいのですが、もう少し今度は自分でじっくりと、考えたいと思います!」
お母様も、「まぁつまらない相手に傷ついて損をするのは貴女だから、お父様にもそう言っておくわ!」
こうして私はいよいよもって、ブスという卑屈な呪いを捨てた結果、次はいい恋愛ができるかもという予感があるので、楽しみしかないのであった!
こんな暴言を吐いて私と婚約破棄をしたのは、私の婚約者であるアルベルト侯爵令息。
「そんなことをしたら問題になるのですが……」
「黙れ!それがどうした!ブスに権利なんかねぇんだ!公爵家もこんなブスをよこすなんて、俺を侮辱しているんだ!」
酷すぎる……
私が悲しみのあまり涙を流すとさらに激怒して、
「泣けばいいってものじゃないんだ!ブスだと弁えて、お前から申し訳ないから婚約破棄をしますって言え!」
私はもう婚約なんてしたくないので、自分から婚約破棄をすると宣言をしてしまった!
それについて激怒したのはお母様である!
「馬鹿ね!相手の落ち度があるのだから容赦なく慰謝料をふんだくれるのに、何で自分から言い出すの!相手の有責度が下がって損をしたじゃない!何考えているのマヌケ!」
お母様の言うことはもっともだけど、そこまでシビアに考えられませんでした。ショックだったので……
私が泣いているとお父様が現れて……
「まぁまぁ、もちろん侯爵殿には賠償してもらうけど、彼自身と私は良好な仲であるし、がめつく要求しなくても、公爵家は困っているわけでは無い。流石にアルベルト殿には反省してもらいたいがね!」
「あなたは甘いわよ!お金にせよ何にせよいくらあっても困らないのよ!それだけあれば税も安くすることができて、領内のためでもあるのよ!」
「うぬ……それももっともだが、侯爵家との仲がこじれるのもまたリスクでは無いか!」
「それがどうしたというの!相手が悪いのに公爵家ともあろうものが格下の雑魚に卑屈になってどうするのですか!」
こうして両親が言い合いになる始末……
これもこれも私が間抜けのせいである!そしてブスなのがすべて悪いのである!
何故なら妹のカトリーナは私以上に勉強ができず、ドジにも拘らず、可愛いからってことでチヤホヤされるのだから!
私は言い争いになっている両親に対して申し訳ない気持ちが高まり過ぎて思わず口走ってしまった!
「お父様お母様、私がブスに生まれたのがすべて悪いんです、もう申し訳ないので家を出て死のうと思います!」
するとお父様が激怒して、
「馬鹿者!そこまで傷つけていたとは、もうアルベルトめ許さん!公爵家の名にかけて成敗してくれるわ!」
「あなた落ち着いて下さいな、そんなことをしたら王家にも睨まれてろくなことはありませんわ!やはり金だけふんだくるのが貴族の流儀ですわ!」
……お父様もお母様も私を心配してくれるのは分かるのだが、私の気持ちはきっと分かってもらえないと思った。何故ならお二人とも私と違って容姿も優れていて頭もいいからだ!
私が思わず飛び出しそうになった時に、お母様が止める!
「ミリア!落ち着きなさい!ブスだからってどうしたというの!女はオシャレでキレイになれるのよ!」
「いいえお母様嘘ですわ!そんなものがあるのでしたらこの世にブスなんていないことになるじゃない!私はブスって言われたのよ!」
「……そんな下等な男にメソメソするんじゃありません!」
「そうだぞ、母さんの言う通りだ!お前は世界一可愛いんだ!」
お父様の言うことは完全に気休めである!そしてお母様みたいな厳しい姿勢に私はなれない!
やはり私は駄目なんだ……これもブスなのがすべて悪いんだ!
私はもういっそ自分の顔をナイフで傷つけてしまいたいと思い、食卓にあったナイフで自分を切ろうとしたら、妹のカトリーナが丁度現れて、
「お姉様何をしているの!」と止めてくるでは無いか……
いつもボケボケしているカトリーナにそんな激しい一面があるとは思わず、私は毒気に抜かれて、茫然とするのであった……
「カトリーナでかした!」
「ミリア……少し落ち着きなさい……」
と両親にも心配させてしまい、私が馬鹿だと思うだけなのであった……
こうして私は部屋に戻ってボケーっとしていたのだが、侍女が監視についている。
きっとお母様が、今私が不安定だから見張ってろと命じたに違いない……
私はひたすら泣いてはウジウジしていたのだが、そこに現れたのが私のおじい様の代から働いていて、今やメイド長となっている、私からしたらおばあちゃん同然に慕っている人が部屋に来たのであった……
「ミリア様、私もそれなりに長く生きているので、ある噂を聞いたことがあります。最近民間にて、誰であろうが美女にすると評判のカリスマ美容家がいるそうです、良かったらそのものを呼んだらいかがでしょうか?」
「……どうせ上手く行きませんわ……」
「確かに保証はできません、しかしそのもの、その誰でもできるという評判を維持したいでしょうから、そういう民間のもののエネルギーは、ある意味貴族達とは別の強さがあるのもまた事実!それに賭けて見ましょう!」
なるほど、おばあちゃんの知恵というか、メイド長の言うことはいちいち妙に説得力があるので、私はお父様に頼むことにした!すると……
「よし、すぐにでも呼ぼうでは無いか!」
と言ってくれたがお母様が……
「本当に信用できるのかしら?もしも役に立たない上に金だけ要求するようならば、遠慮なく潰してしまいなさい!」
と疑い深い!
私はお母様ほど過激では無いが、疑っているのは分かるが、メイド長を信じて強くお願いをした。
するとお父様が頼んでくれたのか、本当に来ることになったのであった!
そしてやってきたそのカリスマ美容家だが、雰囲気は派手というよりは、何て言うかどこか冷たそうな人というのが第一印象だ。
ある意味お母様よりも厳しそうな雰囲気すら感じる……!
「あなたちゃんとできるのでしょうね?」
などとお母様が疑い深く尋ねるも、
「公爵夫人恐れながら申し上げますが、私の仕事が失敗したら、今のように疑ってらっしゃることですし、きっと貴女は報復として、役立たずだと言う噂を流すでしょう、ならば私の商売は破滅です。できるかできないかではなく、やる以外無いのです。その点失敗してもまだ余裕がある貴族の方とは違うのです!」
などと負けずに言い返す!す……凄い。
流石のお母様も……
「……もっともね、ならば期待しているわ!」とだけ言って引き下がる。
お母様がこんな態度を取ったのはほとんど見た事無いので凄いと思った……!
そしてお父様が「よく来てくれた、娘を頼むぞ!」
などというと、美容家は……
「恐れながら、私の商売も少し有名になり、こうなると下らないことに敵も増えるというもの、今回はこの仕事を成功させることで、別に公爵家に後ろ盾になって欲しいとまではいいませんが、繋がりを作って、敵の妨害を阻止したいのです、ということで、報酬よりもそう言ったことを期待してきました!」
何かこの人は凄い……
イチイチものの考えが徹底している!
私もそう思っていたがお父様も何か圧倒されたらしく……
「わ……分かった娘のミリアの悩みを解決したら、公爵家として君を助けられる範囲で協力しよう!」
「ありがとうございます」
何か凄い仕事の話をしているなぁと私は思ったのであった……
そして私の元に来て、「ミリア様お初にお目にかかります、私は卑しき民間のものなので、できるだけ礼儀正しく努めますが、貴族の礼儀など知りませんので、その点で失礼があったらご容赦を!」
などと挨拶される。私はとりあえず、
「あの……お名前は何というのでしょうか?」
「こ……これは失礼しました!自分では自分の名前を知っているので、つい失念していました、それに貴族の方が私の名前に興味を持つなどと思わなかったもので!名前はコーデリアと申します!」
こうしてコーデリアさんに色々美容を教わることになった。
「ミリア様まずは何故私を呼んだのか事情を教えてください!」
「それ必要なのでしょうか?」
「必要ですね、後で理由は申し上げます!」
「分かりました」
こうして私が婚約者にブスだと言うことで振られたことなど、今までのことを、少し恥ずかしいし嫌だったけど話した。
「なるほど、その件については、私の理論を説明したいと思います!」
り……理論!?難しいことなら嫌だなぁと思っていると……
「まず残念ながら男性という種族は、オシャレをしたキレイよりも、何もしなくてもキレイというものを好む人が結構いるということです。特に男性度が高い人ほどそうですね、彼らの理想は脱いだキレイな女ですからね」
「そ……そうなんですか?」
「そうですね、しかしすべてがそういう男性ばかりではありませんし、そこまで振り切れた男性は流石に少数です!」
「なるほど……」
「しかし問題はそうでは無いのです」
「どういうことでしょうか?」
「裸のキレイな女がいいと思う男性ですら、ブスな女を嫌がるのは、違うもう1つの理由があるからなのです」
「ブスだから以外にもあるのですか?」
「この辺りその前に前提を話しておきたいと思います、そもそも女性にブス何て言うタイプの人間に限って、オシャレしてキレイになった女性にあっさりと騙されます、これは言い切れます、そうではなく、裸のキレイな女がいいなんて思うタイプの男性度が高い人は、仮に女を選ぶ時に、キレイかブスではなく、自分のタイプかどうかという観点で考えるからです!」
「む……難しいしどう違うのでしょうか?」
「簡単です、ようはキレイかブスかなんて究極的には主観じゃないですか!まして裸のキレイな女がいいってタイプは、周りがキレイかどうかではなく、自分がキレイだと思ってテンションが上がるかどうかを重視しているのでそうなります」
「なるほど……」
「さらに頭がいいのかどうかは知りませんが、そのアルベルトなる貴族と違い、仮に女を断る時に、ブスだからって言う無礼と、自分の好みじゃないからって断るのと、どっちがマシでしょうか?間違い無く後者ですよね、ってことで、まとめると……」
うーん複雑だなぁ!私は少し困っていたのでまとめてくれて助かる!
「1、女をブスとかいっちゃうタイプに限って、オシャレすれば弱い!
2、女を好みかどうかで考えるタイプほど裸のキレイな女がいいっていうけど、そういうのに振り切った人は男性でもそこまでいない」
「つまりオシャレをすればいいってことですか?」
「そうなるけど、実はここまでの理由はオシャレをする理由じゃないの!」
「どういうことかしら?」
もう言ってることが色々ありすぎるけど、この人が凄い色々考えていることだけは分かった!
「先ほども少し触れたように、裸のキレイな女がいいってタイプであってもブスを嫌がる理由があるのよ、それはね、卑屈な女は嫌だと言う当たり前の理屈……!」
「あ……」
「失礼ながら分かったようですね、卑屈な女と付き合いたいなんて男は、自分も卑屈だからそれしか釣り合わないと思っている情けない男か、または卑屈な女ならば思い通りにできると思っている酷いド畜生かの二択で、卑屈であることは良くないんですよ。オシャレとはその自分何かどうせブス、その呪いを弾くための解呪アイテムなのです!」
「それって本当に大事なんですか?オシャレで最強とかなれないんですか?」
「なれません、そこまで世の中甘くありません、しかし自分に呪いをかけるというのは想像以上に自分の魅力を貶める行為、それをオシャレというアイテムだけで解呪できるのならば、それはみんなが思っている以上の素晴らしい効果なのです!」
「そ……そういうものなんですね!」
「そういうものです、そしてそのためのオシャレの理論もちゃんとあります!」
もう難しくて頭パニックになりそうだが、何とか頑張らないといけないんだなと私も何か分かった!
「まずその解呪方法のオシャレですが、大きく分けて2つの方法があります」
「そうなんですね!」
よく分からずに相槌を打ってるなぁと自分で思った!
「1つ目はこっちはお勧めできませんが、ようは自分がキレイだと極限の自己満足をすることで呪いを解呪する方法です、しかしこれは間違えると傲慢に繋がります、私は世界一美しいのだからみんな周りはブスみたいな!」
「な……なるほど、いっそのことそれくらい思える風になってみたいですけどね」
「冗談でならいいのですが、実際になってしまったら、周りから敵視されると思いますよ!」
「そうですね……」
「もう1つは先ほどキレイは主観と述べましたけど、今この貴族社会の周りで、どういうものがオシャレとされているか、ようは流行などがそうなのですが、大勢がキレイだと思う常識というものはあるわけです。特に女性の間では……それをちゃんと徹底的にするオシャレ、これにより、私もちゃんとキレイの仲間であるとすることで、傲慢にはなりきらないが、卑屈もないみたいな立ち位置が取れるはずです!」
「意外と普通なことなんですね……」
「問題はその普通を徹底できるかです、その微差で、私は普通を頑張れたのだから、もう卑屈になる必要は無い!これが私の提唱するオシャレ理論です!」
「な……なるほど!では何故最初に殿方の心理などを述べたのですか?」
「それは、それを述べないと、つい傲慢な自己満足のオシャレに走って、それでどれだけ着飾っても裸のキレイな女のほうがいいって言い出す男性に打ち負かされてショックを受けるので、その方向性はやめたほうがいいって伝えたかったからです!」
「なるほど……」
こうして私は徹底的に貴族の流行を学ぶことになった。
今まで何となく知っていた程度を、このコーデリアさんと一緒に学んだのであった。
コーデリアさんといえど、貴族の文化に精通しているわけではないので一緒に学んだのだが、それが良かった。
何故なら流行とはすぐに変わるものでその都度対応しないといけないが、それが大変であればあるほど、追うのが嫌になるので、楽に追う方法というのをコーデリアさんの学び方を学ぶことで、何となく分かってきたからだ!
コーデリアさんが言うには、一番注目すべきは王女様、次に貴族内で最もオシャレと有名な令嬢であるとのことである。
ようは王女様が推奨もしくは禁止したものを貴族が逆らうことは難しく、次にみんながオシャレだと思う人を真似るのは、流行として自然な心理だからだそうだ!
なるほどなぁ……
こうして私はいつのまにか、自然に楽にオシャレができるようになった。
しかしコーデリアさんは厳しかった!
「これを自然にごく当然のようにできるようになれば、卑屈になることは無いわ!」
「何か悟りの世界みたいですね!」
「そういうつもりはないけど、意識している程度ではまだまだ、食べ物を食べる、何なら呼吸レベルに自然にできれば、もう卑屈に囚われることは無いはずよ!」
少しずつ私はなじんできたけど、こうなるといつのまにか自分がブスかどうかとか気にならなくなってきた……
自然体が一番ってやつに自然に慣れてきたと言うか何というか……
すると、口の悪い令息達の噂が聞こえてきた……
「最近正直言って、ブスだと思っていた、ミリア公爵令嬢、言うほど悪くないと思えないか?」
「はぁ?お前マジかよあんな……いや案外そうかもな!」
「どうしたんだろうな急に!」
「さぁ知らねぇよ!」
ハッキリ言って言ってることは最低だと思うけど、私がブスじゃないと他人まで思っているのだなと思ってますます自信がついてきた!
なるほど、独りよがりなオシャレじゃないからこそ、こういう時自信もつくのだなってことで、コーデリアさんに来てもらって良かったと、お父様とお母様に告げると、
「なるほど、ならば公爵家公認にしていいな?」
「そうね……これからも付き合っていいと思いますわ!」
とお父様とお母様も認めた!
コーデリアさんも「光栄ですわ、これで余計な妬みから来る妨害を、公爵家に威光で弾くことができます、そう思えばこの仕事安いものでした!」
ちなみにアルベルトだが、父親の侯爵に激怒されて勘当済みだったのだが、突然現れて意味不明なことを言い出す!
どうやら浮気相手のナンシー男爵令嬢にも捨てられたらしく、
「おいもう一度婚約してやってもいいぞ、俺の事が好きだったんだろう?」
私はあまりにも呆れ果てて、こんな超絶馬鹿の戯言に傷ついた以前の自分が恥ずかしい気持ちになったのであった。
当然無視して歩き去りましたが、後ろでギャーギャーほざいていたが、他の貴族からも笑いものにされたようで、もはや社交界に出入り禁止を完全にくらったのであった……
自業自得よね……
そしてお母様が言う。
「貴女の評判以前よりも上がったから、そろそろ誰か婚約とかする気ないの?」
しかし私は、
「嬉しいのですが、もう少し今度は自分でじっくりと、考えたいと思います!」
お母様も、「まぁつまらない相手に傷ついて損をするのは貴女だから、お父様にもそう言っておくわ!」
こうして私はいよいよもって、ブスという卑屈な呪いを捨てた結果、次はいい恋愛ができるかもという予感があるので、楽しみしかないのであった!


