余命一年の君と、最後の恋。

「今日から新学期か....・。」
春風に舞う桜の花びらを見上げながら、私は校門をくぐった。
高校二年生。
今年こそ、何か変わる一年になればいいな。
そんなことを考えながら教室へ入ると、いつもの友達が手を振ってくれた。
「結衣、おはよう!」
「おはよう!」
席に座って話していると、担任の先生が教室へ入ってきた。
「今日は転校生を紹介する。」
教室が一気にざわつく。
「入ってきていいぞ。」
静かにドアが開き、一人の男子が教室へ入ってきた。
制服をきっちり着こなし、少し長めの黒髪。
どこか儚げな雰囲気をまとったその人は、静かに前へ立った。
「朝比奈湊です。よろしくお願いします。」
短い自己紹介だけ。
それなのに、教室中の視線が彼に集まる。
「かっこいい.......」
そんな声があちこちから聞こえた。
だけど、湊くんは誰とも目を合わせようとしなかった。
先生が席を指さす。
「朝比奈は桜井の隣だ。」
「えっ......?」
まさかの隣の席。
湊くんは静かに席へ来ると、小さく会釈した。
「よろしく。」
「う、うん。よろしく!」
それだけの会話。
でも、なぜか少しだけ胸が高鳴った。
休み時間になっても、湊くんの周りには人だかりができていた。
質問攻めにされても、彼は困ったように笑うだけ。
私は話しかける勇気が出ず、窓の外を眺めていた。
そのとき。
一枚のプリントが風に飛ばされた。
「あっ!」
追いかけようとした瞬間、誰かが先に拾ってくれた。
「これ。」
差し出してくれたのは、湊くんだった。
「ありがとう!」
「気をつけて。」
優しく微笑んだその表情は、一瞬だった。
だけど、その笑顔が頭から離れない。
私はまだ知らなかった。
この出会いが、私の運命を大きく変えることになるなんて