このくらいすれば……仕方なぁって、紫音さんなら起きてくれそうなのに。
そんな気配はなく、沈黙の中自分の心音だけが鼓膜まで響いてくるような感覚になる。
これ以上このままでいたら私も心臓もギブアップしそう──
「……そういえば、ずっと思ってたけどさ」
「は、はい」
このままでも会話はギリギリ出来るから、まずはこのままたえよう。
「今日の服、この前僕が選んだものだよね。……すごく、似合ってる」
「……っ、ありがとうごさいます」
「髪もアレンジするようになって……それは僕のため?」
すぐ近くで話している紫音さんの声に、体が跳ねるながらも、コクコクと頷けば満足そうに笑う。
「僕の選んだ服を着て、可愛い髪型にして……耳まで赤くなっちゃってるなんて、かーわいい……」
「……っ」
耳元に吐息がかかってくすぐったい。
でも、向き直れば真正面に美形。
ゆえに向くことは出来ないのだ。
紫音さんのひと言にいちいち肩が跳ねていると、『はあ』と息を吐いた紫音さん。
これは避けてくれる感じ……?



