「……待って!!」
「っ!?」
涙をこらえることに神経を集中させていたから、足音に気付かなかった。
けれど私を後ろから引き止め振り向かせたのは、紫音さんだった。
「紫音さっ……」
泣きそうな私を見て、一瞬だけ驚いた表情をするも紫音さんは少し乱れた息をそのままに話し始める。
「本当は……はじめてカメラマンをしてくれたあの日に貸したTシャツはね、あげる気で渡したんだ。でも……あげたら、会えなくなるかもって思って、やっぱり持ってきてって言っちゃったの」
「え?」
「偶然でも、あの日知り合えて、僕を雨に濡れないようにして自分がずぶ濡れになってて……知り合ったばかりの僕の心配して……優しい子なんだな、また会えたらなって思った」
最初は友達って関係になれたら、と思っていたことを紫音さんは教えてくれて。
だから私も帰る時に寂しさを感じていたことを打ち明けた。



