「っとと……今日はカメラマンの約束守ってくれてありがとう」
「いえいえっこちらこそです。私の方こそありがとうごさいました」
笑顔で挨拶をしてドアを閉めると、どっと寂しさが込み上げてきたけれど、さよならだって。小走りに階段をおりて歩道に出る。
見送ってくれたり、なんていう淡い気持ちに首を振って歩くと、
「あのさ!それ、あげるって言ったけどやっぱり持ってきてくれないかな?」
中から出てきていた紫音さんの声が響き、思わず振り返る。
それ、とはこのTシャツのことだ。
「ドアノブにかけておけば大丈夫ですか?」
すんなり、うんと頷かれるものだと思ったのに、違うようで。
「これで日時合わせしよ!」
スマホを見せる紫音さんに、心が弾むような感覚を覚え、
「はい!」
大きく頷いて私は帰路についた。



