残り全部、冬休み

 冬休みになると、犯罪歴のある妹が帰ってきた。
 妹は、私の部屋で、急に動画配信を始めた。
 だるい。
 妹が「この漢字が読めない」と言う。
 私は「なんで漢字、弱いんだよ」とツッコんだ。

 妹の動画の視聴者が、どうでもいいことで騒いだ。
 「お姉さん、声、かわいい!」
 「漢字は難しいよ」
 「お姉さんは、声のみなの?」
 キモいな、と私が心の中で嫌がっていると、だれかが、私に、とどめを刺した。

「お姉さん、声、映画化したアニメのМさんみたい!」
 「だれだ!」と私は怒っておいた。

 後日、詩人の最果タヒさんの「君を愛ちゃん」というエッセイを読んでいると、Мさんが、サービス残業により死ぬ女性のキャラクターであると知った。

 私はガタガタしてしまった。

 「残り全部バケーション(伊坂幸太郎さん)で」と私は心の中で回答した。

 警報が鳴る。
「逃げてはいけません。逃げてはいけません」
「黙れ」と私が言うと、警報の音声がガッカリしたようだった。

 「あな、あなたからの理解を得られなくて、非常に残念です。パワハラを開始します」

 私は家から出た。

 (キャラクターの作家の、よこみぞゆりさんの世界に癒されたい)