隣の天海くんから甘いレッスン~お付き合い編~



「……ねぇ、佐野ちゃん。こっち向いて?ねぇってば」



​放課後の図書室の奥、人が全然来ない資料スペース。


世界史のレポートを書こうとノートを広げてる私の隣で、天海くんが私のブレザーの袖をぐいぐい引っ張ってくる。



​「ちょっと天海くん、今いいところだから。早くやんなきゃレポート終わんない」


​「やだ。レポートより俺……っていうか、また天海くんって呼んだ。付き合ってからもう二ヶ月も経つのに、まだ苗字で呼ぶわけ?」



​天海くんは不満そうに口を尖らせると、私の肩にコテン、と自分の頭を乗せてきた。


サラサラのブラウンの髪が私の首筋に当たって少しだけくすぐったい。



​「いや、それを言うなら天海くんだって、いまだに私のこと佐野ちゃんって呼んでんじゃん。そこはスルーなわけ?」



​私がジト目でツッコむと、天海くんは一瞬「あ」って顔をして、それからニヤッと不敵に笑った。