−狂兎の檻−

下を向いたまま、学校へ向かう。 別に周りに興味がないわけじゃない。
ただ――前を向くのが怖いだけ。

「狂犬いる」

そんな声が聞こえ、思わず顔を上げた。
狂犬って、何だろう――。

私の前を歩く二人組の女子生徒。その視線の先には、制服の上から黒いパーカーを羽織った男子と、白いパーカーを着た男子が並んで歩いていた。
後ろ姿だけでも分かる。
あまりにも目立つ二人だ。

「狂犬が誰かと一緒にいるの、珍しくない?」 「確かに」
「しかも、色違いのパーカー……」
「え!ってことは、白いパーカーの子も危ない人?」