−狂兎の檻−

「甘いよ」


その一言に促されるように、お腹を空かせていた僕は一粒を口へ運ぶ。 優しい甘さが口いっぱいに広がった。
今まで味わったことのない甘さに、気付けば涙がこぼれていた。

「……美味しい」
「これね、幸せになれる魔法の薬なんだよ」


彼女は泣きながら笑った。

その笑顔を見た瞬間、僕は―― 君のことが、忘れられなくなった。

「あげる。また、たまには笑ってね」

そう言って彼女は、こんぺいとうの入った小さな瓶を僕に差し出した。