−狂兎の檻−

本当に可愛い。

なのに、その笑顔の奥に、言いようのない違和感を感じてしまう。
それに――。
どうして、私なんだろう。
初対面のはずなのに。
どうして、こんなに当たり前みたいに話しかけてくるの?

「……でも、もうすぐ授業」
「大丈夫だから、行こっ?」
「……はい」

気が付けば、私は凪くんのペースに巻き込まれていた。

静まり返った教室を後にし、二人で廊下を歩く。
少し先に自動販売機が見えてくると、凪くんはその前で立ち止まった。