−狂兎の檻−

だけど――
私は見てしまった。
あの一瞬だけ向けられた視線を。 笑っているのに、目だけは冷え切っていて。 そこには、隠そうともしない殺気だけが宿っていた。

逆らってはいけない――。
そんな空気を、私は確かに感じていた。

「美月ーっ!」
「……はい」

名前を呼ばれ、思わず返事をしてしまう。

「頭悪い奴らがウザイから、ジュース買いに行こぉー?」

さっきまでの冷たい目なんて、まるで嘘だったかのように、凪くんはにこにこと笑っている。