「は? 恋愛? ……いや、普通に漫画読んだりはするけど、リアルのは別に。っていうか、私には縁ないし」
「ふーん。じゃあさ」
天海くんは私の机に両手をついて、じーっと私の目を覗き込んできた。
綺麗な茶色い目が、至近距離でこっちを見ている。
あまりの近さに心臓がドクン、って変な音を立てた。
「ねぇ、キスのしかた、教えてあげよっか?」
「……は?」
いや、耳疑うでしょ。
今、このクラスの王子様、なんて言った?
キスのしかた? 教えてあげる? 誰に? 私に??
頭の中の回路が全部ショートした。
天海くんの顔は、いつもの優しい笑顔のまんま。だけど、目の奥がなんかいつもと違うっていうか、急にゾクゾクってした。
………うん、逃げよう。

