『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「……あのさ、小鳥遊」

一ノ瀬くんが、グッと顔を近づけてくる。

男子特有の、少し低い吐息が私の頬にかかって、メンズメイクの下の肌が一気に熱くなるのが分かった。

「朝からずっと思ってたんだけどさ」

彼の切れ上がった涼しげな瞳が、私の顔を、そして首元を、値踏みするようにじっくりと見つめる。

「お前、隠せてないよ?」

「……え?」

心臓が、ドキンと嫌な音を立てて冷たくなった。

「な、何のことかな? 僕は別に何も隠してなんて――」

「声、無理して低く作ってるだろ。それに、その耳。ピアス穴の跡もないし、形が小さくて女子みたいなんだな」

「――っ!!」

一ノ瀬くんの指先が、私の耳たぶにピトッと触れた。

ひんやりとした男子の指の感触に、ゾクッと全身に鳥肌が立つ。

「それに、いくら胸を潰してても、 体のラインが細すぎるし、歩き方の重心が男のそれじゃない」

「……っ」

言葉が出ない。完璧に研究したはずの男装。学校中の女子全員を騙せているはずの、私のイケメン化。

それを、この出会って数時間の隣の席の男子は、驚くほど冷徹に、そして正確に見抜いていた。

「本当は女の子でしょ?」

一ノ瀬くんの唇が、意地の悪い笑みの形に歪む。頭の中が真っ白になった。

(ば、バレた……!!! 私の最高のハーレム生活、初日の放課後にして、終了のお知らせですか――!?)