麗奈先輩は、胸元を開けたセクシーな制服姿で、バチバチに睨み合う一ノ瀬くんと神楽坂先輩の間にするりと割り込んできた。
「蓮(神楽坂)、あなた1年生の可愛い男の子相手に、眼鏡外して何マジになってるのよ。職権乱用で行き過ぎた脅迫は、副会長としてNGでしょ?」
麗奈先輩が人差し指をチッチッと振ると、神楽坂先輩はチッと小さく舌打ちをして、ポケットから眼鏡を取り出して再び顔にかけた。
いつもの冷徹なエリートの仮面が、一瞬で彼の顔に戻る。
「……九条。邪魔をしないでくれ。俺はただ、小鳥遊くんの書類の不備を正そうとしていただけだ」
「嘘おっしゃい。顔が完全に『獲物を狙う男の顔』になってたわよ?」
麗奈先輩はクスクス笑うと、今度は一ノ瀬くんに抱きしめられている私の方へと視線を向けた。その瞳が、らんらんと輝き始める。
「それにしても、1年のツムギくん……。近くで見ると、やっぱり信じられないくらいお肌がピチピチで可愛いわねぇ!……あなた、本当に罪な男の子ね」
麗奈先輩は頬に手を当てて、ため息混じりに僕を見つめた。
「学校中の女子たちをスピーカー越しの声だけで気絶させて、 クラスの女子には親衛隊まで作らせて……。挙げ句の果てには、うちの冷徹副会長の蓮と、 特進クラスの一匹狼の一ノ瀬くんを、ここまで本気にさせて狂わせちゃうんだから」
「あ、あはは……。僕はただ、みんなと仲良く過ごしたいだけで……」
私は引きつった『王子様スマイル』を浮かべながら、低めの声を絞り出した。中身が女の子だとバレている2人と、まだ男の子だと思って可愛がってくれている麗奈先輩。この空間の情報量が多すぎて、私の脳のキャパシティは完全に限界突破していた。
「……小鳥遊。もう行くぞ。 こんな奴らのところにいたら、お前の頭がバカになる」
一ノ瀬くんは私の手首を掴み直すと、今度こそ誰も寄せ付けない圧倒的なスピードで、私を連れて生徒会室を飛び出した。神楽坂先輩の冷たい視線と、麗奈先輩の楽しそうな笑い声が、背後で遠ざかっていく。
廊下を猛スピードで引っ張られながら、私は一ノ瀬くんの広い背中を見つめていた。秘密がバレていく恐怖。でもそれ以上に、彼が私のために怒ってくれたという事実が、私の胸をどうしようもないくらいに甘く、激しく震わせていたんだ――。
「蓮(神楽坂)、あなた1年生の可愛い男の子相手に、眼鏡外して何マジになってるのよ。職権乱用で行き過ぎた脅迫は、副会長としてNGでしょ?」
麗奈先輩が人差し指をチッチッと振ると、神楽坂先輩はチッと小さく舌打ちをして、ポケットから眼鏡を取り出して再び顔にかけた。
いつもの冷徹なエリートの仮面が、一瞬で彼の顔に戻る。
「……九条。邪魔をしないでくれ。俺はただ、小鳥遊くんの書類の不備を正そうとしていただけだ」
「嘘おっしゃい。顔が完全に『獲物を狙う男の顔』になってたわよ?」
麗奈先輩はクスクス笑うと、今度は一ノ瀬くんに抱きしめられている私の方へと視線を向けた。その瞳が、らんらんと輝き始める。
「それにしても、1年のツムギくん……。近くで見ると、やっぱり信じられないくらいお肌がピチピチで可愛いわねぇ!……あなた、本当に罪な男の子ね」
麗奈先輩は頬に手を当てて、ため息混じりに僕を見つめた。
「学校中の女子たちをスピーカー越しの声だけで気絶させて、 クラスの女子には親衛隊まで作らせて……。挙げ句の果てには、うちの冷徹副会長の蓮と、 特進クラスの一匹狼の一ノ瀬くんを、ここまで本気にさせて狂わせちゃうんだから」
「あ、あはは……。僕はただ、みんなと仲良く過ごしたいだけで……」
私は引きつった『王子様スマイル』を浮かべながら、低めの声を絞り出した。中身が女の子だとバレている2人と、まだ男の子だと思って可愛がってくれている麗奈先輩。この空間の情報量が多すぎて、私の脳のキャパシティは完全に限界突破していた。
「……小鳥遊。もう行くぞ。 こんな奴らのところにいたら、お前の頭がバカになる」
一ノ瀬くんは私の手首を掴み直すと、今度こそ誰も寄せ付けない圧倒的なスピードで、私を連れて生徒会室を飛び出した。神楽坂先輩の冷たい視線と、麗奈先輩の楽しそうな笑い声が、背後で遠ざかっていく。
廊下を猛スピードで引っ張られながら、私は一ノ瀬くんの広い背中を見つめていた。秘密がバレていく恐怖。でもそれ以上に、彼が私のために怒ってくれたという事実が、私の胸をどうしようもないくらいに甘く、激しく震わせていたんだ――。

