しかし、私の背中を抱きしめる一ノ瀬くんの腕の力が、さらにギチギチと強くなった。
「行くな、小鳥遊」
一ノ瀬くんの低い声が、私の耳元で直接響いた。彼の唇が私の耳たぶに触れそうなくらい近くて、メンズメイクの下の肌が一気に沸騰するように熱くなる。
「こいつは、どこにも行かねぇよ。……甘やかす? 守る?ハッキングまがいのことして脅迫書類送ってきた奴が、何が『守る』だ。笑わせんなよ」
一ノ瀬くんは、神楽坂先輩の差し伸べた手を、冷徹な視線で睨みつけた。
「小鳥遊は、俺のパシリで、俺の同盟相手だ。こいつの困った顔も、女の子の声も、全部俺が最初に見つけたんだよ。あんたみたいな他人に、1ミリも触らせる気はねぇ」
剥き出しの、本気の独占欲。学校中の女子から『孤高の天才』と恐れられ、誰にも興味を示さなかった一ノ瀬くんが、今、私のためにここまで感情を爆発させている。その事実に、私の胸の奥が、甘くて激しい痛みを伴ってドクンと跳ね上がった。
「それは君の勝手なエゴだね、一ノ瀬くん。小鳥遊くん自身がどう思っているかが重要だ。……さあ、ツムギくん。君は、どちらを選ぶ?」
神楽坂先輩の冷酷な視線と、一ノ瀬くんの熱い視線が、私の一点に集中する。外では女子たちをメロメロにしてハーレムの頂点にいるはずの私が、この生徒会室の密室の中では、2人の最強イケメンに挟まれて、身動き一つ取れない究極のシンデレラになっていた。
「ぼ、僕は……」
私が声を震わせた、まさにその時。
「あらあら? 随分と楽しそうな修羅場が開幕してるじゃない」
生徒会室のパーテーションの陰から、くすくすと楽しそうな笑い声とともに、もう一人の人影が姿を現した。
「れ、麗奈先輩……っ!?」驚いてそちらを見ると、ウェーブがかったロングヘアを揺らしながら、生徒会副会長の九条麗奈先輩が歩いてきた。碧ノ海学園の生徒会は、新設校ということもあって、特例で副会長が2人いるという特殊な組織らしい。
「行くな、小鳥遊」
一ノ瀬くんの低い声が、私の耳元で直接響いた。彼の唇が私の耳たぶに触れそうなくらい近くて、メンズメイクの下の肌が一気に沸騰するように熱くなる。
「こいつは、どこにも行かねぇよ。……甘やかす? 守る?ハッキングまがいのことして脅迫書類送ってきた奴が、何が『守る』だ。笑わせんなよ」
一ノ瀬くんは、神楽坂先輩の差し伸べた手を、冷徹な視線で睨みつけた。
「小鳥遊は、俺のパシリで、俺の同盟相手だ。こいつの困った顔も、女の子の声も、全部俺が最初に見つけたんだよ。あんたみたいな他人に、1ミリも触らせる気はねぇ」
剥き出しの、本気の独占欲。学校中の女子から『孤高の天才』と恐れられ、誰にも興味を示さなかった一ノ瀬くんが、今、私のためにここまで感情を爆発させている。その事実に、私の胸の奥が、甘くて激しい痛みを伴ってドクンと跳ね上がった。
「それは君の勝手なエゴだね、一ノ瀬くん。小鳥遊くん自身がどう思っているかが重要だ。……さあ、ツムギくん。君は、どちらを選ぶ?」
神楽坂先輩の冷酷な視線と、一ノ瀬くんの熱い視線が、私の一点に集中する。外では女子たちをメロメロにしてハーレムの頂点にいるはずの私が、この生徒会室の密室の中では、2人の最強イケメンに挟まれて、身動き一つ取れない究極のシンデレラになっていた。
「ぼ、僕は……」
私が声を震わせた、まさにその時。
「あらあら? 随分と楽しそうな修羅場が開幕してるじゃない」
生徒会室のパーテーションの陰から、くすくすと楽しそうな笑い声とともに、もう一人の人影が姿を現した。
「れ、麗奈先輩……っ!?」驚いてそちらを見ると、ウェーブがかったロングヘアを揺らしながら、生徒会副会長の九条麗奈先輩が歩いてきた。碧ノ海学園の生徒会は、新設校ということもあって、特例で副会長が2人いるという特殊な組織らしい。

