『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「断ると言ったら、どうする? 一ノ瀬くん。君がどれだけ吠えようと、小鳥遊くんの『重大な秘密』を握っているのは私だ。彼女の未来を左右する権利は、私にあるんだよ」

神楽坂先輩があえて口にした『彼女』というキーワード。

その言葉が、一ノ瀬くんの導火線に完全に火をつけた。ガシッ!!!次の瞬間、一ノ瀬くんは神楽坂先輩の腕を、凄まじい力で掴んで引き剥がした。

先輩の手から私の手首が解放される。

「わっ……!」

よろめいた私の身体を、一ノ瀬くんは自分の大きな左腕で、強引に後ろへと引き寄せた。ドン、と彼の硬い胸板に私の背中が押し付けられる。

放課後の激しい全力疾走のせいで、彼の心臓が信じられないほどの速さでドクドクと脈打っているのが、背中越しに痛いほど伝わってきた。

「権利だの未来だの、偉そうに語ってんじゃねぇよ陰険眼鏡。こいつが女の子だってことなら、俺の方がずっと先に知ってんだわ」

「――っ!?」

私は驚愕して、一ノ瀬くんの横顔を見上げた。

(一ノ瀬くん……! 今、神楽坂先輩の前で、 私が『女の子』だってはっきり言っちゃった……!?)

神楽坂先輩も、一瞬だけ意外そうに目を見開いた。けれど、すぐにフッと挑発的な笑みを唇に浮かべる。

「へえ……。君も知っていたんだね。なら話が早い。君はただのクラスメイトとして、彼女の弱みに付け込んでパシリにしていただけだろう?だが私は違う。生徒会の権限で、彼女の男装を完全にバックアップして、誰にもバレないように保護してあげられる」

神楽坂先輩が、一歩前に出る。外された眼鏡をポケットにしまい、私に向かって、すっと美しく長い手を差し伸べた。

「さあ、ツムギくん。あんな乱暴な男のところにいても、君の秘密はいずれ学校中に露呈するだけだ。私の元へ来なさい。君を誰よりも甘やかして、守ってあげる」

先輩の低くて艶のある声が、部屋の中に優しく響く。中身がピュアな女子高生の私にとって、その大人の魅力に満ちた言葉は、正直頭がクラクラするほどの破壊力があった。