『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「――神楽坂先輩。そこ退けよ。……俺の小鳥遊に、触んじゃねぇって言っただろ」

補習を抜け出してきた、一ノ瀬くんの、本気の、地獄のようなブチギレ声が室内に響き渡った。

夕闇の廊下を背にして立つ彼の姿は、まるで獲物を奪われそうになった本物の猛獣のようだった。

いつもはクールな一ノ瀬くんが、肩を激しく上下させ、額に青筋を立てて神楽坂先輩を睨みつけている。

「あ、一ノ瀬くん……っ」

先輩に壁に押し付けられたまま、私は掠れた声を漏らした。

驚きと、どこか救われたような安堵感で、私の胸がキュンと締め付けられる。

神楽坂先輩は、私の手首を掴んだまま、ゆっくりと一ノ瀬くんの方へ顔を向けた。

外された眼鏡。

その奥にある冷徹な瞳には、一ノ瀬くんの怒りに怯える様子など1ミリもなかった。

「……驚いたな。特進クラスの優等生が、補習を抜け出して 生徒会室の扉を蹴破るなんてね。ずいぶんと野蛮な飼い犬だ」

「うるせぇよ。優等生ごっこなら、今朝の時点でやめてんだわ。……その汚ぇ手を、早くこいつから離せ」

一ノ瀬くんが、大股で室内に足を踏み入れる。