『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「あ、あのね……! 図書室で、ちょっと急用ができちゃって……」

私は一歩、後ろへ後ずさりした。

今の一ノ瀬くんのオーラは、出会った初日の時よりもずっとキケンで、冷たい。けれど、一ノ瀬くんは大股で私との距離を詰めると、私の両肩をガシッと強い力で掴んだ。

「痛っ……一ノ瀬くん?」

「急用って何だよ。お前のカバン、生徒会室の前の廊下に置いてあったぞ。……お前、神楽坂先輩と何してたんだよ」

「え……っ!?」

(カバン、見られてたんだ……!)

生徒会室に入る時、緊張のあまり廊下の棚にカバンを置き忘れてしまっていたことに、今更気づいた。

「神楽坂先輩は、お前が『男』だと思って、目を付けてんだろ。あいつ、完璧主義だから、お前の書類の不備を突いてきたんじゃねぇの? ……それとも、何か別のことされたか?」

一ノ瀬くんの顔が、すぐ目の前まで迫る。掴まれた両肩から、彼の強い力が伝わってくる。怒っているというより、まるで、自分の大切なオモチャを誰かに奪われそうになって、必死に囲い込もうとしているような――

そんな、強烈な『嫉妬』の匂いがした。

「ち、違うの! 神楽坂先輩には、その……生徒会の手伝いを頼まれただけで……!」

私は男装の秘密がもう一人にバレたとは言えず、必死に嘘をついた。けれど、一ノ瀬くんの鋭い目は誤魔化せない。

「嘘つけ。お前、嘘つくとき、いつも左目が泳ぐんだよ。……言えよ、小鳥遊。あいつにお前が『女』だってこと、バラしたのか?」

一ノ瀬くんの声が、低く、切なく響く。彼のその真剣な表情に、私の胸の奥が、ズキリと激しく締め付けられた。