『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「……っ」

言葉が出なかった。

中身が女子高生な私は、神楽坂先輩の圧倒的な美貌と、逃げ場のない理詰めの詰め寄り方に、完全にフリーズしてしまった。

メンズメイクの下の顔が、恐怖と恥ずかしさでカッと赤くなっていくのが分かる。

「やっぱりね。可愛い反応をする。……碧ノ海学園のデータシステムを誤魔化してまで男装しているなんて、一体どんな深い事情があるのか、じっくり聞かせてもらおうか」

神楽坂先輩は私の顎を、細い指先でスッと優しく持ち上げた。

冷たい眼鏡の奥の瞳が、今は獲物を見つけた肉食獣のように、妖しくギラギラと輝いている。

「バラされたくなかったら、放課後、毎日生徒会室へ来なさい。私の『専属の秘書』として、ね」

(せ、専属の秘書……!?)

一ノ瀬くんの『パシリ』に続いて、今度は生徒会副会長の『秘書』!?私の男装の秘密は、またしてもイケメン男子の、しかも学校の最高カーストのトップに握られてしまった。

「……返事は?」

神楽坂先輩が、さらに顔を近づけてくる。

その唇が私の唇に触れそうなほどの至近距離に、私は涙目になりながら、コクコクと激しく首を縦に振るしかなかった。

「……よろしい。じゃあ、今日の放課後から、生徒会室で待っているよ。ツムギくん」

先輩は満足そうに微笑むと、私の顎から手を離し、優雅な足取りで図書室を去っていった。