『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

その日の放課後、外はしとしとと静かな雨が降っていた。

私は一ノ瀬くんに頼まれた数学のプリントの解答を回収するため、一人で静まり返った図書室へと向かった。

親衛隊の女子たちには「すぐ戻るから、教室で待ってて」と言い含めてある。

雨の日の図書室は、利用する生徒も少なくて、ひっそりとしている。

トントン、と静かな足音だけが響く中、私は目的の棚へと向かった。

「……あった、これこれ」

棚の奥からプリントの束を見つけ、ホッとしたその時。

カツン、カツン……。静かな図書室に、少し重い、男子の上履きの音が近づいてくるのが聞こえた。

誰だろう、と思って振り返ろうとした瞬間――。

フワッ……と、私の背後から、大人の男の人のような、微かにキケンで洗練されたシトラスの香りが漂ってきた。

「君が、1年B組の小鳥遊ツムギくん、だね?」

頭上から降ってきたのは、低くて、どこか人を惹きつけるような、酷く艶のある声だった。

心臓が、ドクンと嫌な音を立てて跳ね上がる。

ゆっくりと振り返ると、そこには、私の行く手を遮るように立っている、一人の高身長の男子生徒の姿があった。