「遅い。5分遅刻」
カフェの奥のテラス席。
一ノ瀬くんは、私服の黒いパーカー姿で、難しそうな数学の参考書を開いていた。相変わらず、私服姿も悔しいくらいにイケメンだ。
「急に呼び出す一ノ瀬くんが悪いんでしょ。……で、どこが分からないの?」
私は彼の向かいの席に座り、少し低めの声で拗ねてみせた。
「ここ。この数式の展開が、どうしても納得いかない」
一ノ瀬くんが指差したページを見る。さすが特進クラスの天才、私には暗号にしか見えない難問だ。
……って、よく考えたら、私はパシリ(勉強のサポート役)として呼ばれたはずじゃ?
「ね、ねぇ一ノ瀬くん。僕、文系だから数学はさっぱりなんだけど……」
「知ってる。ただ、一人で煮詰まってたから、お前を頭数として呼んだだけ」
一ノ瀬くんはフンと鼻で笑うと、注文してあったアイスココアを私の前に差し出してきた。
「ほら、お前の分。生クリーム多めにしといたから」
「え……。あ、ありがとう」
口は悪いけれど、私が甘いものが好きなのを知っていて、ちゃんと用意してくれていた。
ココアを一口飲むと、濃厚な甘さが口いっぱいに広がって、パシリの疲れが一気に吹き飛んでいく。
「小鳥遊。お前、私服の男装も、無駄にクオリティ高いな」
一ノ瀬くんが頬杖をつきながら、私の顔をじっと見つめてきた。その綺麗な瞳に、私の心臓がまたドクンと音を立てる。
カフェの奥のテラス席。
一ノ瀬くんは、私服の黒いパーカー姿で、難しそうな数学の参考書を開いていた。相変わらず、私服姿も悔しいくらいにイケメンだ。
「急に呼び出す一ノ瀬くんが悪いんでしょ。……で、どこが分からないの?」
私は彼の向かいの席に座り、少し低めの声で拗ねてみせた。
「ここ。この数式の展開が、どうしても納得いかない」
一ノ瀬くんが指差したページを見る。さすが特進クラスの天才、私には暗号にしか見えない難問だ。
……って、よく考えたら、私はパシリ(勉強のサポート役)として呼ばれたはずじゃ?
「ね、ねぇ一ノ瀬くん。僕、文系だから数学はさっぱりなんだけど……」
「知ってる。ただ、一人で煮詰まってたから、お前を頭数として呼んだだけ」
一ノ瀬くんはフンと鼻で笑うと、注文してあったアイスココアを私の前に差し出してきた。
「ほら、お前の分。生クリーム多めにしといたから」
「え……。あ、ありがとう」
口は悪いけれど、私が甘いものが好きなのを知っていて、ちゃんと用意してくれていた。
ココアを一口飲むと、濃厚な甘さが口いっぱいに広がって、パシリの疲れが一気に吹き飛んでいく。
「小鳥遊。お前、私服の男装も、無駄にクオリティ高いな」
一ノ瀬くんが頬杖をつきながら、私の顔をじっと見つめてきた。その綺麗な瞳に、私の心臓がまたドクンと音を立てる。

