『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「……皆さん、たくさんの応援、本当にありがとうございました」

スピーカーを通して体育館中に響き渡る私の声は、いつもの『ツムギ様』としての完璧な王子様の声だった。だけど、私はそこで言葉を止め、いつも貼り付けていた王子様スマイルを、そっと消した。

静まり返る館内。みんなが不思議そうにステージの上の私を見つめている。

私はマイクを両手で強く握り直し、客席の女の子たちの目を一人ずつ見つめるようにして、ゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。

「今日、ここで優勝できて、皆さんがこんなに喜んでくれて、本当に嬉しいです。……でも、僕は皆さんに、どうしても伝えなければいけない、大きな嘘をついています」

嘘、という単語に、体育館がざわ、と不穏に揺れた。

ステージの袖で見ていた生徒会長の律先輩が、眼鏡の奥の瞳を鋭く見開く。副会長の神楽坂先輩も、いつもの完璧な笑顔を消して、私をじっと見つめていた。

「ツムギ、お前……ッ」

隣で一ノ瀬くんが、私のブレザーの袖を掴もうとして手を伸ばしてくる。だけど、私はその手をそっと優しく制して、彼に向かって小さく首を振った。

「僕は、皆さんが憧れてくれているような、完璧な男の子の『ツムギ』ではありません。本当の僕は.......私は、髪を短く切って、男装をしてこの学校に入り込んだ、ただの女の子です」

静寂。

一瞬、体育館から全ての音が消え去ったかのような、圧倒的な静けさが世界を支配した。

誰も、私の言った言葉の意味が理解できないというように、口を開けたままステージの上に立ち尽くしている。

「嘘、でしょ……?」

「ツムギ様が……女の子……?」

客席のあちこちから、震えるような、信じられないという呟きが漏れ聞こえ、それがやがて大きな波のようなざわめきへと変わっていく。

女の子たちの騙されたというショックの表情、戸惑いの視線が、ステージの上の私に一斉に突き刺さる。その痛みに足がすくみそうになりながらも、私はマイクを離さなかった。