『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「おやおや、案内係のツムギくん。サボりかな? 生徒会副会長としては、見過ごせないね」

クラスの模擬店で買った焼きそばを二人でベンチに座って食べようとしたその時、上から眩いばかりの華やかなオーラを纏った声が降ってきた。

振り返ると、ウェーブがかった髪を軽く揺らし、完璧な王子様スマイルを浮かべた神楽坂先輩が立っていた。

「あ、神楽坂先輩……っ! 副会長、お疲れ様です!」

私が慌てて立ち上がると、神楽坂先輩は私との距離をすっと詰め、私の手首を優しく、だけど拒絶を許さない力で掴んで微笑んだ。

「昨日の約束、忘れていないだろうね? コンクールが無事に終わったら、僕の特等席でお茶に付き合ってもらうよ、ツムギくん」

「おい、神楽坂。その汚ぇ手、今すぐツムギから離せよ」

ベンチから立ち上がった一ノ瀬くんの声が、一瞬で獣のように低くなる。神楽坂先輩の手を一ノ瀬くんがガシッと力強く掴んで引き剥がした。一ノ瀬くんの額にピキリと青筋が浮かび、今にも掴みかかりそうなほどの激しい独占欲が周囲の空気をピリつかせる。

「おや、手厳しいね。でも一ノ瀬くん、機材室のネズミは無事に駆除できたんだろう? だったら僕への『お礼』を邪魔するのはお門違いじゃないかい?」

「あぁん!? それとこれとは話が別だろ。こいつは俺のも――」 

「一、一ノ瀬くん、ダメ……っ!」

私は慌てて一ノ瀬くんのブレザーの袖をギュッと引っ張った。全校生徒が周りにいる中で『俺のもの』なんて言ったら、それこそ付き合っていることが大激震でバレてしまう。

「神楽坂、校内での強引な連れ出しは生徒会として見過ごせないね。神楽坂、君は本部の書類整理が残っているはずだが?」

その時、廊下の奥から静かに眼鏡のブリッジを押し上げながら現れたのは、生徒会長の律先輩だった。氷のように冷ややかな視線が神楽坂先輩を射抜く。

「おや、会長。お邪魔虫のお出ましだね。……じゃあツムギくん、お茶の約束はまた後でね」

神楽坂先輩は完璧な副会長スマイルのまま綺麗に身を引いて去っていった。律先輩は私をすべてを見透かしたような瞳で一瞥すると、 

「精々、ボロを出さないように楽しむんだね、紬」

と、周りに聞こえないほどの低い声で囁き、生徒会室へと戻っていった。心臓がハラハラと激しく飛び跳ねる。

最強の先輩たちに振り回されながらも、一ノ瀬くんが彼氏として必死に私を守ろうとしてくれるその姿が、たまらなく愛おしかった。