泣き崩れる彼女を、そっと見守るように映音部の部員(律先輩の手配した生徒会の手伝い)に引き継いだ後、私と一ノ瀬くんは、ようやく張り詰めていた緊張の糸を解くことができた。
「……終わったな、ツムギ」
機材室を出て、体育館の端の薄暗い通路に移動した瞬間、一ノ瀬くんが深く、大きなため息を吐き出した。
「うん……。本当に、終わったんだね……っ」
私は震える手で自分のブレザーの胸元をぎゅっと押さえた。完璧な学園生活も一ノ瀬くんとの恋も全部粉々に砕け散るか分からなかった、息もできないほどの絶体絶命なハラハラ感。それが、今度こそ本当に、綺麗に消え去ってくれたのだ。
「ありがとね、一ノ瀬くん。一ノ瀬くんがいてくれなきゃ、私……」
「だから、お前が謝るなっての。……それより、お前さ」
一ノ瀬くんはぶっきらぼうに言葉を遮ると、周りに誰も生徒がいないことをもう一度確認してから、私の細い肩をガシッと力強く引き寄せた。男友達としての距離感。だけど、制服越しに伝わってくる彼の大きな手のひらの熱さが、さっきまでとは全く違う意味で私の心臓をバクバクと甘く弾けさせる。
「まだ文化コンクールは続いてんだろ。せっかくクソ眼鏡と神楽坂から特権ふんだくったんだ。……これからは、普通に楽しむぞ」
「え……? 普通に楽しむって、コンクールを?」
「あぁ。お前、いつも女子に囲まれてビクビクしてばっかで、学校の行事なんか一回もまともに楽しんだことねぇだろ。……今日は俺が、ずっとお前の隣にいてやるから」
フイッと少し照れくさそうに顔を背ける一ノ瀬くん。
だけど、私の手を袖口越しにグイッと強く引っ張る彼の指先には、恋人としての温かい優しさが目一杯に詰まっていた。
「うん……っ! 私、一ノ瀬くんと一緒に、いっぱい回りたい!」
ウィッグの下の汗も、案内係としての重圧も全部忘れて、私は一人の女の子『紬』としての、本当の、最高に幸せな笑顔を一ノ瀬くんに向けた。
「……終わったな、ツムギ」
機材室を出て、体育館の端の薄暗い通路に移動した瞬間、一ノ瀬くんが深く、大きなため息を吐き出した。
「うん……。本当に、終わったんだね……っ」
私は震える手で自分のブレザーの胸元をぎゅっと押さえた。完璧な学園生活も一ノ瀬くんとの恋も全部粉々に砕け散るか分からなかった、息もできないほどの絶体絶命なハラハラ感。それが、今度こそ本当に、綺麗に消え去ってくれたのだ。
「ありがとね、一ノ瀬くん。一ノ瀬くんがいてくれなきゃ、私……」
「だから、お前が謝るなっての。……それより、お前さ」
一ノ瀬くんはぶっきらぼうに言葉を遮ると、周りに誰も生徒がいないことをもう一度確認してから、私の細い肩をガシッと力強く引き寄せた。男友達としての距離感。だけど、制服越しに伝わってくる彼の大きな手のひらの熱さが、さっきまでとは全く違う意味で私の心臓をバクバクと甘く弾けさせる。
「まだ文化コンクールは続いてんだろ。せっかくクソ眼鏡と神楽坂から特権ふんだくったんだ。……これからは、普通に楽しむぞ」
「え……? 普通に楽しむって、コンクールを?」
「あぁ。お前、いつも女子に囲まれてビクビクしてばっかで、学校の行事なんか一回もまともに楽しんだことねぇだろ。……今日は俺が、ずっとお前の隣にいてやるから」
フイッと少し照れくさそうに顔を背ける一ノ瀬くん。
だけど、私の手を袖口越しにグイッと強く引っ張る彼の指先には、恋人としての温かい優しさが目一杯に詰まっていた。
「うん……っ! 私、一ノ瀬くんと一緒に、いっぱい回りたい!」
ウィッグの下の汗も、案内係としての重圧も全部忘れて、私は一人の女の子『紬』としての、本当の、最高に幸せな笑顔を一ノ瀬くんに向けた。


