『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

『――これより、全校芸術文化コンクール、第一部のステージ発表を開始します。館内は間もなく暗転いたします。生徒の皆さんは速やかに着席してください』

体育館の天井から響く無機質なアナウンスと共に、天井の大きな水銀灯が、一つ、また一つと音を立てて消えていった。

ざわざわとしていた館内が一気に暗闇に包まれ、ステージの巨大なスクリーンだけが、淡い白光を放ち始める。案内係としての役目を終えた私は、壁際に立ちながら、バクバクと壊れそうなほど激しく波打つ胸をそっと手で押さえた。

一ノ瀬くん……。お願い、成功して……っ


同じその瞬間。体育館のステージ裏、張り巡らされた遮光カーテンの奥にある『映音部機材スペース』は、完全な暗闇と機材の電子音だけに支配されていた。

淡い青や緑のインジケーターが明滅するノートパソコンの前で、腕に『機材管理補佐』の腕章を巻いた一ノ瀬くんは、静かに気配を消して壁の影に身を潜めていた。スポーツ祭で痛めた右足の痛みなんて、今の彼には一ミリも関係なかった。

彼の鋭い獣のような瞳は、暗闇の向こう、ステージへと続く細い通路の入り口を真っ直ぐに睨みつけている。

……そろそろ来やがるな、あのネズミが


一ノ瀬くんが低く息を吐き出した、その時だった。

カチャ、と機材室の古い扉が不自然に小さく開いた。

暗闇に慣れてきた視界の向こうから、周囲をキョロキョロと警戒しながら、足音を殺して忍び込んでくる一つの小さな影が見える。
同じクラスの、あの意地悪なライバル女子だ。

彼女は周囲に映音部の部員がいないことを確認すると、勝ち誇ったような、歪んだ笑みを口元に浮かべた。その手には、学校の機材に直接接続するための、小さなUSBメモリがしっかりと握られている。

「フフ……。これであの生意気なツムギも、一ノ瀬も、全部終わりよ……」

誰もいないと思い込み、暗闇の中で彼女がノートパソコンのポートへと手を伸ばした、まさにその瞬間。

ガシッ、と、鋼のように強固な大きな手が、彼女の手首を闇の中から容赦なく、力任せに掴み取った。

「――えっ!?」

彼女が短い悲鳴を上げる間もなく、カチリ、と一ノ瀬くんの左手が壁のスイッチを押し、機材室の狭い蛍光灯が容赦なく彼女の顔を照らし出した。

「よぉ。待ちくたびれたぜ、クソ女」


光の中に浮かび上がったのは、腕を組んで彼女を冷酷に見下ろす、一ノ瀬くんの圧倒的なまでの威圧感を孕んだ姿だった。