お昼休みや放課後になっても、私たちは徹底して「距離の開いた男友達」を演じ続けた。
私が一人で廊下を歩いている時、ふとすれ違う一瞬、一ノ瀬くんの大きな身体が私の横を通り過ぎる。周りに生徒が溢れているから、声をかけることも、目を合わせることもできない。
だけど、すれ違うそのわずか一秒の隙間。
一ノ瀬くんの制服のポケットから、小さく折りたたまれたルーズリーフの切れ端が、私の手のひらへと滑り込んできた。
誰もいないトイレの個室に駆け込み、ドキドキする胸を抑えながらその紙を開く。
そこには、乱暴だけど力強い彼の文字が並んでいた。
『クソ眼鏡から許可証は確保した。神楽坂の腕章も俺のポケットに入ってる。あの女、完全に油断してやがるから、作戦通り本番当日の上映直前に機材室で仕留める。お前は何も心配すんな。』
「一ノ瀬くん……っ」
紙をぎゅっと胸に抱きしめると、涙が出そうなくらい温かい勇気が体中に満ちていく。
学校の廊下では、赤の他人のようにすれ違う二人。だけど、裏ではこうして命がけで私を守るために、彼は誰よりも早く動いてくれているのだ。
ふと個室を出て鏡の前に立つと、私はいつもの『完璧なイケメンのツムギ』としての王子様スマイルを、今度は本物の自信を持って作り出すことができた。
あのライバル女子は、自分が仕掛けた蜘蛛の巣に私がかかっていると信じ込んでいる。
だけど、本当に網にかかっているのは、そっちのほうだ。一ノ瀬くんという世界で一番頼もしい彼氏、そして律先輩と神楽坂先輩という生徒会の最強のバックアップを得た私たちは、水面下で完璧な反撃の包囲網を完成させつつあった。
嵐の前の静けさは、もう怖くない。
大嵐を迎え撃つための刃を、私たちは静かに、だけど確実に研ぎ澄ましていた。
私が一人で廊下を歩いている時、ふとすれ違う一瞬、一ノ瀬くんの大きな身体が私の横を通り過ぎる。周りに生徒が溢れているから、声をかけることも、目を合わせることもできない。
だけど、すれ違うそのわずか一秒の隙間。
一ノ瀬くんの制服のポケットから、小さく折りたたまれたルーズリーフの切れ端が、私の手のひらへと滑り込んできた。
誰もいないトイレの個室に駆け込み、ドキドキする胸を抑えながらその紙を開く。
そこには、乱暴だけど力強い彼の文字が並んでいた。
『クソ眼鏡から許可証は確保した。神楽坂の腕章も俺のポケットに入ってる。あの女、完全に油断してやがるから、作戦通り本番当日の上映直前に機材室で仕留める。お前は何も心配すんな。』
「一ノ瀬くん……っ」
紙をぎゅっと胸に抱きしめると、涙が出そうなくらい温かい勇気が体中に満ちていく。
学校の廊下では、赤の他人のようにすれ違う二人。だけど、裏ではこうして命がけで私を守るために、彼は誰よりも早く動いてくれているのだ。
ふと個室を出て鏡の前に立つと、私はいつもの『完璧なイケメンのツムギ』としての王子様スマイルを、今度は本物の自信を持って作り出すことができた。
あのライバル女子は、自分が仕掛けた蜘蛛の巣に私がかかっていると信じ込んでいる。
だけど、本当に網にかかっているのは、そっちのほうだ。一ノ瀬くんという世界で一番頼もしい彼氏、そして律先輩と神楽坂先輩という生徒会の最強のバックアップを得た私たちは、水面下で完璧な反撃の包囲網を完成させつつあった。
嵐の前の静けさは、もう怖くない。
大嵐を迎え撃つための刃を、私たちは静かに、だけど確実に研ぎ澄ましていた。


