『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「――行くぞ、ツムギ」

神楽坂先輩に『機材管理補佐』の腕章を差し出され、交換条件として「お茶の約束」を突きつけられた直後、一ノ瀬くんはこれ以上ないくらい凶悪な顔で私の手首を掴み、副会長室を飛び出した。

放課後の誰もいない渡り廊下まで来ると、一ノ瀬くんは突然ピタッと足を止め、掴んでいた私の手首をグイッと力任せに引っ張った。

「キャッ……!?」

ドン、と大きな背中に押し付けられるようにして、私は一ノ瀬くんの広い胸の中に強引に抱き寄せられていた。

周りに生徒がいないのを確認してから、彼は私の耳元で、今にも噛み付きそうなくらい低く、激しい嫉妬を孕んだ声で低く唸る。


「おい、ツムギ……。あいつ、何が『二人きりでお茶』だ。お前、アイツの誘いに乗るんじゃねぇぞ。……マジでイライラするわ、あのクソ副会長」

「いち、一ノ瀬くん……っ、顔が近いよ……!」

ブレザー越しに伝わってくる一ノ瀬くんの激しい心臓の鼓動と、付き合いたての彼氏としての強烈な独占欲。私の顔は一瞬で爆発しそうなくらい熱くなる。


「わ、分かってるよ! あれは作戦のためのただの返事だし、コンクールが終わったら一ノ瀬くんが一緒に断ってよ……。ね?」

私が彼の胸元に顔を埋めたまま必死に宥めると、一ノ瀬くんはフンと大きく鼻を鳴らし、悔しそうに私の男装のウィッグの頭をガシガシと乱暴に、だけど愛おしそうに撫で回した。


「……当たり前だ。お前を他の男に渡すわけねぇだろ。……チッ、」

いつものように少し照れくさそうに顔を背ける一ノ瀬くん。

律先輩の許可証と、神楽坂先輩の腕章。2つの強力な武器を手に入れた私たちは、彼氏としての甘い絆をさらに深めながら、夕暮れの校舎を後にしたのだった。