「神楽坂先輩、お忙しいところすみません。……実は、次の文化コンクールの日、一ノ瀬くんにステージ裏の映音部の機材スペースを少しだけ見張らせてほしいんです」
私は一ノ瀬くんと並んで立ち、神楽坂副会長の完璧な笑顔の奥にある真剣な瞳を真っ直ぐに見据えた。
神楽坂先輩は私が『女の子』だと知っている。だけど、私の『イケメンのツムギ』としての存在もすごく気に入ってくれている。
だからこそ、ここで変な誤魔化しをするより、ある程度の危機であることを伝えるべきだと判断したのだ。
「へえ、一ノ瀬くんが映音部の機材スペースを見張る? 理由を聞かせてもらえないかい?」
神楽坂先輩は優雅に脚を組み替え、顎に手を当てて私を覗き込んできた。
「学校の行事をめちゃくちゃにしようとして、直前に機材へ変なデータを仕込もうとしてる奴がいるんです。ツムギがそいつに狙われてて……だから、俺が当日、その現場を直接押さえたい」
一ノ瀬くんが不機嫌そうに、だけど神楽坂先輩に対して真っ直ぐに事情を説明した。一ノ瀬くんの手が、私のブレザーの袖口をギュッと一瞬だけ強く握る。恋人である私を絶対に破滅させないという、彼の強い意志が伝わってきた。
「なるほど、ツムギくんを困らせる悪いネズミが紛れ込んでいるというわけだ。それは生徒会副会長としても、僕個人的としても、見過ごすわけにはいかないね」
神楽坂先輩はフッと微笑むと、驚くほどあっさりと立ち上がり、デスクから映音部の公式な『機材管理補佐』の腕章を取り出した。
「いいよ、一ノ瀬くん。これを君に預けよう。これがあれば、当日の映音部の部員たちも君の指示に従うはずだ。……ただし、条件がある」
神楽坂先輩は私に一歩近づき、私の手首を優しく、だけど拒絶を許さない力で掴むと、耳元で甘く囁いた。
「コンクールが無事に終わったら、ツムギくん。僕と二人きりで、特等席でお茶に付き合ってもらうよ? ……一ノ瀬くん、君も文句はないね?」
「――っ、テメェ……」
一ノ瀬くんが激しく火花を散らそうとしたけれど、私は彼の袖を引いて必死に目で訴えた。
律先輩の許可証、そして神楽坂先輩の腕章。
2人の最強のイケメン先輩たちへの『新たな借り』と引き換えに、私たちはついに、大舞台でライバル女子を迎え撃つための、完璧な反撃の武器を手に入れたのだった――。
私は一ノ瀬くんと並んで立ち、神楽坂副会長の完璧な笑顔の奥にある真剣な瞳を真っ直ぐに見据えた。
神楽坂先輩は私が『女の子』だと知っている。だけど、私の『イケメンのツムギ』としての存在もすごく気に入ってくれている。
だからこそ、ここで変な誤魔化しをするより、ある程度の危機であることを伝えるべきだと判断したのだ。
「へえ、一ノ瀬くんが映音部の機材スペースを見張る? 理由を聞かせてもらえないかい?」
神楽坂先輩は優雅に脚を組み替え、顎に手を当てて私を覗き込んできた。
「学校の行事をめちゃくちゃにしようとして、直前に機材へ変なデータを仕込もうとしてる奴がいるんです。ツムギがそいつに狙われてて……だから、俺が当日、その現場を直接押さえたい」
一ノ瀬くんが不機嫌そうに、だけど神楽坂先輩に対して真っ直ぐに事情を説明した。一ノ瀬くんの手が、私のブレザーの袖口をギュッと一瞬だけ強く握る。恋人である私を絶対に破滅させないという、彼の強い意志が伝わってきた。
「なるほど、ツムギくんを困らせる悪いネズミが紛れ込んでいるというわけだ。それは生徒会副会長としても、僕個人的としても、見過ごすわけにはいかないね」
神楽坂先輩はフッと微笑むと、驚くほどあっさりと立ち上がり、デスクから映音部の公式な『機材管理補佐』の腕章を取り出した。
「いいよ、一ノ瀬くん。これを君に預けよう。これがあれば、当日の映音部の部員たちも君の指示に従うはずだ。……ただし、条件がある」
神楽坂先輩は私に一歩近づき、私の手首を優しく、だけど拒絶を許さない力で掴むと、耳元で甘く囁いた。
「コンクールが無事に終わったら、ツムギくん。僕と二人きりで、特等席でお茶に付き合ってもらうよ? ……一ノ瀬くん、君も文句はないね?」
「――っ、テメェ……」
一ノ瀬くんが激しく火花を散らそうとしたけれど、私は彼の袖を引いて必死に目で訴えた。
律先輩の許可証、そして神楽坂先輩の腕章。
2人の最強のイケメン先輩たちへの『新たな借り』と引き換えに、私たちはついに、大舞台でライバル女子を迎え撃つための、完璧な反撃の武器を手に入れたのだった――。


