「一ノ瀬くん……、本当に、ありがとう……っ」
「……だから、泣くなっての。お前が泣くのは、俺の腕の中だけにしておけ」
一ノ瀬くんはぶっきらぼうにそう言うと、私の肩を引き寄せ、今度は優しく、包み込むようにギュッと抱きしめてくれた。
彼のパーカーから香る、いつもの柑橘系の匂いが、私の張り詰めていた心を完全に解きほぐしていく。
「作戦はこうだ。明日、お前から律に連絡して、ステージ裏の『映音部の機材スペース』の警備を当日だけ俺に任せるように交渉しろ。あの女がデータを仕込みに来るタイミングは、ステージ発表の第一部が始まる直前の暗転の時だ」
腕の中で、一ノ瀬くんの低い声が鼓動と共に響く。
「俺がそこで網を張って、あの女がスマホやUSBを機材に繋ごうとした瞬間、現行犯で取り押さえる。証拠を押さえちまえば、あいつは二度とお前を脅せねぇ。……完璧な崩壊なんて、俺が絶対にさせねぇからな」
「……うん。私、一ノ瀬くんを信じる。一ノ瀬くんの言う通りにするね」
私は彼の胸に顔を埋めたまま、強く、強く頷いた。
一人で怖くて震えていたDMの交渉とは違う。今は、世界で一番頼もしい彼氏が、私のために一緒に戦ってくれている。
文化コンクール当日、ここから先、本当の大舞台での決戦へ向けて。
暗闇の中の作戦会議を終えた私たちは、まだ見ぬ大嵐を迎え撃つために、静かに、だけど確実に反撃の準備を整え始めるのだった――。
「……だから、泣くなっての。お前が泣くのは、俺の腕の中だけにしておけ」
一ノ瀬くんはぶっきらぼうにそう言うと、私の肩を引き寄せ、今度は優しく、包み込むようにギュッと抱きしめてくれた。
彼のパーカーから香る、いつもの柑橘系の匂いが、私の張り詰めていた心を完全に解きほぐしていく。
「作戦はこうだ。明日、お前から律に連絡して、ステージ裏の『映音部の機材スペース』の警備を当日だけ俺に任せるように交渉しろ。あの女がデータを仕込みに来るタイミングは、ステージ発表の第一部が始まる直前の暗転の時だ」
腕の中で、一ノ瀬くんの低い声が鼓動と共に響く。
「俺がそこで網を張って、あの女がスマホやUSBを機材に繋ごうとした瞬間、現行犯で取り押さえる。証拠を押さえちまえば、あいつは二度とお前を脅せねぇ。……完璧な崩壊なんて、俺が絶対にさせねぇからな」
「……うん。私、一ノ瀬くんを信じる。一ノ瀬くんの言う通りにするね」
私は彼の胸に顔を埋めたまま、強く、強く頷いた。
一人で怖くて震えていたDMの交渉とは違う。今は、世界で一番頼もしい彼氏が、私のために一緒に戦ってくれている。
文化コンクール当日、ここから先、本当の大舞台での決戦へ向けて。
暗闇の中の作戦会議を終えた私たちは、まだ見ぬ大嵐を迎え撃つために、静かに、だけど確実に反撃の準備を整え始めるのだった――。


