『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

「本番当日の、直前……?」

「おう。あの女が油断して、データを機材に読み込ませようとしたその現場を、俺たちが直接押さえるんだよ」


一ノ瀬くんは私の顔を真っ直ぐに見据え、その大きな手のひらで、私の冷たくなった両手をぎゅっと包み込んだ。

付き合いたての恋人としての熱い体温が、指先から伝わってきて心臓が跳ね上がる。


「でも、文化コンクールの日、一ノ瀬くんたちのクラスは展示の準備で忙しいし、私はイケメンの『ツムギ』として、女子たちの案内係に指名されてて……ステージの裏には近づけないよ?」

「だから、そこは俺が動く。お前はいつも通り、周りの女子をはべらせて完璧な王子様を演じてりゃいいんだよ。あの女に、お前がまだ何も気づいてねぇって思わせるための、最高のおとりだ」

「一ノ瀬くんが、一人でステージの裏に行くの……!?」

心配で声を上げる私に、一ノ瀬くんはフンと鼻を鳴らし、少しだけ耳の端を赤くしながら、私の頭をぽんと優しく小突いた。


「一人じゃねぇよ。……あのクソ眼鏡(律先輩)にも、このことは話す。あいつ、お前に借りを作ったとか抜かしてたんだろ? だったら生徒会長の権限使って、当日のステージ裏の立ち入り許可証、俺の分を発行させりゃいい」

「律先輩を巻き込むの……?」

「巻き込むんじゃねぇ、利用すんだよ。あいつだって、お前の正体がこんなくだらねぇ嫌がらせでバレて、学校中が大パニックになるのは困るはずだ。……翠、お前を守るためなら、俺は使えるもんは何だって使うぞ」


その力強い言葉。彼氏としての圧倒的な頼もしさに、私の目元がまたじわりと熱くなっていく。