『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

そんなカオスながらも楽しい毎日を送っていた、ある日の放課後。

一ノ瀬くんに頼まれた「世界史の参考書」を借りに、私は一人で静まり返った図書室へと向かった。

親衛隊の女子たちには「すぐ戻るから」と言って、教室で待ってもらっている。

図書室の奥の、世界史の棚。目当ての本を見つけ、手を伸ばしたその時だった。

「……あれぇ? 君、1年B組の小鳥遊くんでしょ?」

背後から、少し粘り気のある、軽薄そうな男子の声が聞こえた。

振り返ると、そこにいたのは、制服のネクタイを緩め、髪を派手に遊ばせた2年生の先輩男子だった。

(誰だろう……。B組の男子じゃないな)

「あ、はい。1年の小鳥遊ツムギですが……何かご用ですか?」

私はいつもの『優しい王子様ボイス』で、丁寧に対応した。けれど、その先輩は私の顔をじろじろと不躾に見つめると、ふっと嫌な笑みを浮かべた。

「いやさ、最近学校中で君の噂ばっかりでさ。女子たちがみんな君に夢中で、俺の彼女まで君のファンクラブに入っちゃってさ。……ちょっと、どんな凄いイケメンなのか拝みに来たわけ」

先輩は一歩、私に近づいてくる。その目には、純粋な憧れではなく、明らかな『嫉妬と悪意』がギラギラと灯っていた。

「……そうですか。彼女さんには、応援してくれてありがとうとお伝えください」

私は無駄なトラブルを避けるため、スッと頭を下げてその場を立ち去ろうとした。しかし、先輩は私の行く手を遮るように、世界史の棚にガシッと手を突いて、私を閉じ込めた。

「待てよ。……お前さ、近くで見ると、なんか男の割に線が細すぎない? 声も、なんか無理して作ってるっぽいし……」

先輩の目が、私の胸元、そして首元へと、いやらしく動き始める。心臓が、ドキンと嫌な音を立てて凍りついた。

一ノ瀬くんの時とは違う、本物の『悪意』を持った男の視線。

「お前……まさか、何か隠してんじゃねぇの?」

先輩の手が、私のブレザーの襟元へと伸びてくる。

(マズい……! 触られたら、女子だってバレる……っ!!)