生徒会長である律先輩の言う通り、いくら一ノ瀬くんが強くても、写真がネットに流されて全校生徒に一瞬で広まってしまえば、もう誰にも止められない。
私は覚悟を決め、あの意地悪なライバルに男装の証拠写真を握られて脅されていることを、律先輩におおまかに打ち明けることにした。
「……実は、同じクラスの女の子に、私が女の子だって気づかれそうな写真を撮られちゃって……。全校生徒のグループラインに流すって、脅されてるんです」
「なるほどな。あの一ノ瀬がさっき血相を変えて追い払っていたのは、その彼女というわけか」
律先輩は驚く風でもなく、ふむ、と顎に手を当てて眼鏡の奥の目を細めた。全てを察したようなその冷静さに、私はすがるような思いで一歩踏み出す。
「律先輩……っ。お願い、があります」
「お願い?」
「その子がいつ写真を流すか分からなくて、毎日すごくハラハラしてて……。だから、もし生徒会の耳に怪しい噂とか、ネットの変な書き込みが入ったら……その、ちょっとだけ、裏から目を光らせておいてもらえませんか……?」
生徒会長である律先輩の権力があれば、もし全校生徒のライングループに変な画像が流されそうになっても、事前に警告を出したり、揉み消したりできるかもしれない。
私の必死な『お願い』を聞いた律先輩は、少しだけ意外そうに目を見張った。
だけどすぐに、フッと意地の悪い、だけどどこか嬉しそうな笑みを唇に浮かべた。
「面白いな。あの一ノ瀬には頼らず、俺を頼るというわけだ」
「それは……っ、一ノ瀬くんにこれ以上迷惑をかけたくないからで……!」
「まぁいい。学校の秩序を守るのも生徒会長の仕事だ、そいつが不穏な動きをしないか、俺の方でも少しだけ圧力をかけておいてあげよう」
律先輩はそう言って、私の男装のネクタイを指先でクイッと軽く引っ張り、至近距離で妖しく微笑んだ。
「ただし、紬。これはタダのボランティアじゃない。俺に借りを作ったということ、ちゃんと覚えておけよ」
律先輩に少しだけ助けてもらえる安心感と、それ以上に、新たな秘密の貸し借りを作ってしまったことへのハラハラ感。
一ノ瀬くんの元へ戻ろうと生徒会室のドアノブに手をかけながら、私の心臓は、まだ激しく警報を鳴らし続けていた――。
私は覚悟を決め、あの意地悪なライバルに男装の証拠写真を握られて脅されていることを、律先輩におおまかに打ち明けることにした。
「……実は、同じクラスの女の子に、私が女の子だって気づかれそうな写真を撮られちゃって……。全校生徒のグループラインに流すって、脅されてるんです」
「なるほどな。あの一ノ瀬がさっき血相を変えて追い払っていたのは、その彼女というわけか」
律先輩は驚く風でもなく、ふむ、と顎に手を当てて眼鏡の奥の目を細めた。全てを察したようなその冷静さに、私はすがるような思いで一歩踏み出す。
「律先輩……っ。お願い、があります」
「お願い?」
「その子がいつ写真を流すか分からなくて、毎日すごくハラハラしてて……。だから、もし生徒会の耳に怪しい噂とか、ネットの変な書き込みが入ったら……その、ちょっとだけ、裏から目を光らせておいてもらえませんか……?」
生徒会長である律先輩の権力があれば、もし全校生徒のライングループに変な画像が流されそうになっても、事前に警告を出したり、揉み消したりできるかもしれない。
私の必死な『お願い』を聞いた律先輩は、少しだけ意外そうに目を見張った。
だけどすぐに、フッと意地の悪い、だけどどこか嬉しそうな笑みを唇に浮かべた。
「面白いな。あの一ノ瀬には頼らず、俺を頼るというわけだ」
「それは……っ、一ノ瀬くんにこれ以上迷惑をかけたくないからで……!」
「まぁいい。学校の秩序を守るのも生徒会長の仕事だ、そいつが不穏な動きをしないか、俺の方でも少しだけ圧力をかけておいてあげよう」
律先輩はそう言って、私の男装のネクタイを指先でクイッと軽く引っ張り、至近距離で妖しく微笑んだ。
「ただし、紬。これはタダのボランティアじゃない。俺に借りを作ったということ、ちゃんと覚えておけよ」
律先輩に少しだけ助けてもらえる安心感と、それ以上に、新たな秘密の貸し借りを作ってしまったことへのハラハラ感。
一ノ瀬くんの元へ戻ろうと生徒会室のドアノブに手をかけながら、私の心臓は、まだ激しく警報を鳴らし続けていた――。


