『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

翌朝、学校へ登校すると、下駄箱の時点で女子たちの熱気が異常だった。

「キャーッ! ツムギくん、おはよう!」

「おはよう。みんな、朝から元気だね」

いつもの神対応で挨拶を返しながら、自分のクラスの教室へ入る。

すると、美咲ちゃん率いる『ツムギくん親衛隊』が、すっ飛んできた。

「ツムギくん! 大変だよ! 昨日、一ノ瀬くんと相合い傘して帰るところ、色んな人に目撃されてる!」

「えっ……!?」

(マズい、男装が怪しまれた!?)

と焦る私を置き去りにして、美咲ちゃんたちは目を輝かせた。

「孤高の天才一ノ瀬蓮と、1年B組の王子様小鳥遊ツムギ……! 二人が並んで一つの傘に入ってる写真、校内SNSで大拡散中だよ! もう『蓮ツム』ってカップリング名までできてるんだから!」

「は、はあ……っ!?」

(れ、蓮ツム……!? カップリング!?)

どうやら女子たちの妄想は、私の男装を見破る方向ではなく、

「イケメン同士の尊い友情(BL)」という全く別の方向へ全力疾走してしまっているらしい。

「おい、小鳥遊。朝からうるさいんだけど」

遅れて教室に入ってきた一ノ瀬くんが、自分の机にカバンをドカッと置いた。

美咲ちゃんたちは「キャーッ! 本人が来た!」と、クスクス笑いながら蜘蛛の子を散らすように自分の席へ戻っていく。

「一ノ瀬くん……なんか、僕たちの相合い傘の写真が、大変なことになってるみたいで……ごめんね」

私は申し訳なさそうに眉を下げて謝った。

男のプライド(?)を傷つけてしまったかもしれない。けれど一ノ瀬くんは、スマホでその拡散された写真を確認すると、フンと鼻で笑った。

「別に。勝手に言わせておけば? むしろ、あいつらが勝手に勘違いしてくれてる方が、お前の正体がバレなくて好都合だろ」

一ノ瀬くんは頬杖をつきながら、私にだけ聞こえる低い声で囁いた。

彼が私の『秘密を守る側』に完全に回ってくれていることが、不覚にも、すごく心強くて嬉しかった。