『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

体育の授業の興奮も冷めやらぬまま、放課後を迎えた。

しかし、外を見ると、天気予報にはなかった激しいゲリラ豪雨が学校を襲っていた。

「うわぁ……最悪。傘、持ってきてないよ……」

昇降口で、私はカバンを抱えて立ち尽くしていた。

親衛隊の女子たちは、すでに部活やそれぞれの方法で帰ってしまっており、周りには同じように雨宿りをする生徒が数人いるだけ。

「おい、小鳥遊。傘ないの?」

背後から、カバンを肩にかけた一ノ瀬くんが歩いてきた。彼の手には、大きめの黒いビニール傘が握られている。

「うん、忘れちゃって。雨が弱まるまで待とうかなって……」

「ふーん。じゃ、駅まで入ってく?」

一ノ瀬くんは当然のように、自分の傘をパサッと開いた。

「え、いいの!? でも、男同士で相合い傘って、周りの目が……」

「男同士なんだから、別に不自然じゃないだろ。ほら、お前が濡れて風邪引いたら、明日のパシリがいなくなるから困るんだよ」

やっぱり口は悪い。でも、私は彼の優しさに甘えることにして、一ノ瀬くんの傘の下へと一歩踏み込んだ。

大きめの傘とはいえ、男子高校生の体格。2人で入ると、どうしても肩と肩がぶつかり合うほどの至近距離になる。

雨の音にかき消されそうになりながら、私たちは並んで駅への道を歩き出した。

「一ノ瀬くん、ありがとね。実はちょっと、一ノ瀬くんのこと、見直したかも」

「は? 何をだよ」

「口は悪いけど、本当はすっごく優しいんだなって」

私が本音をポロッと漏らし、横顔を見上げてふんわりと微笑むと、一ノ瀬くんは急に足を止めた。傘を持つ彼の手が、わずかに震える。

「……お前、男の姿でその笑顔、マジでキケンだからな。心臓に悪い」

一ノ瀬くんは顔を背け、耳まで真っ赤にしながら、私の肩をグイッと自分の方へ引き寄せた。

雨に濡れないようにという彼の不器用な優しさに、私の胸の奥が、今までにないほど甘くズキリと痛んだ。