『イケメンになりたい!』で始めた学校生活、モテすぎてハーレム状態!?もう戻れない...

リレーでの興奮が冷めやらぬまま、私は息を整えてクラスの応援席へと戻った。

次に始まったのは、男子のクラス対抗サッカーの決勝戦。

ピッチの上では、うちのクラスの男子たちが他クラスの強豪を相手に、泥だらけになりながら激しい攻防を繰り広げている。


「がんばれ……っ!」

私はベンチの最前列に立ち、フェンスをぎゅっと握りしめてピッチに熱い視線を注いだ。

ファンの女の子たちが「ツムギ様、お疲れ様です! お水どうぞ!」と群がってきてくれるけれど、今の私はそれどころじゃない。

試合の展開の一挙一動に、胸をハラハラと高鳴らせていた。


「おい、パス回せ! 」

「右、空いてるぞ!」

普段の学校生活では見られない、男子たちの真剣な怒鳴り合い。

その中心にいるのは、やっぱり一ノ瀬くんだった。

彼は圧倒的な体格とセンスで、相手ディフェンダーを次々と華麗に抜き去っていく。鋭い眼差しでボールを追いかける彼の姿は、言葉を失うほどに野性的で、圧倒的に格好よかった。

一ノ瀬くん……、すごい……!


自分のことなんて完全に忘れて、私は夢中で彼のプレイを目で追った。

相手の激しいタックルに一ノ瀬くんが倒れそうになるたび、あぶない……!と声を上げて心臓が止まりそうになる。

逆に、彼が鋭いシュートを放って惜しくもゴールポストを弾いた時は、誰よりも悔しそうに頭を抱えた。


「ツムギくん、本当にサッカー好きなんだね」

隣にいたクラスの女子が、私のあまりの真剣さに驚いたように呟く。

「うん! だって、みんなあんなに必死に戦ってるんだから。応援にだって、全力で応えなきゃ失礼だよ!」


いつもの王子様としてのセリフじゃない。

本気でクラスの勝利を願い、仲間の頑張りに心を震わせている、私の本当の言葉だった。


「――一ノ瀬くん! いけ――っ!!」

後半残りわずか、チャンスが巡ってきた瞬間、私は思わずフェンスから身を乗り出して、声を枯らすようにして叫んでいた。

私の男装の秘密を知り、今は冷たくすれ違ってしまっている彼。だけど、そんなの関係ない。今はただ、うちのクラスのエースとして、誰よりも輝いている彼の背中を全力で押しおしたかった。


私の声が、大歓声を突き抜けて一ノ瀬くんに届いたのだろうか。

走っていた彼が、一瞬だけこちらを振り返り、目を見張った。


そして次の瞬間、彼は弾かれたようにさらに加速し、相手のディフェンスラインを強引に突破して、豪快な決勝ゴールをネットに突き刺したのだ――。