「っと……。危ねぇな、前見てろよ」
耳元で聞こえたのは、一ノ瀬くんの少し焦ったような声だった。
目を開けると、私は一ノ瀬くんの広い胸の中に、すっぽりと抱きすくめられていた。
彼の片腕が私の細い腰をがっちりとホールドしていて、背中越しに、運動したばかりの彼の熱い体温と、ドクドクと速い心臓の鼓動がダイレクトに伝わってくる。
「あ……一ノ瀬、くん……」
「相手ディフェンス、突っ込んできてただろ。お前、華奢なんだから、まともにぶつかったら吹っ飛ぶぞ」
一ノ瀬くんは私を庇うようにして、突っ込んできた男子生徒を鋭い視線で睨みつけた。
「わりぃ一ノ瀬! 小鳥遊もすまん!」と相手の男子が慌てて手を挙げる。
一ノ瀬くんは「フン」と鼻を鳴らすと、ゆっくりと私から腕を離した。密着が解けた瞬間、なぜか急に身体が寒くなったような気がして、私は慌てて自分の胸元を押さえる。
(危なかった……バレるところだった……)
(でも、一ノ瀬くん、今、僕のことを守ってくれたの……?)
顔が、メンズメイクの上からでも分かるくらいに熱い。
女子たちの前では完璧な王子様でいられるのに、一ノ瀬くんの前だと、私はただの『男の子の身体の大きさにドギマギする女の子』になってしまう。
「……何赤くなってんだよ。ほら、試合戻るぞ」
一ノ瀬くんは少しぶっきらぼうに私の頭をぽんと叩くと、さっさとコートの定位置に戻っていった。
彼の耳の縁が、ほんの少しだけ赤くなっていたことに、私はまだ気づいていなかった。
耳元で聞こえたのは、一ノ瀬くんの少し焦ったような声だった。
目を開けると、私は一ノ瀬くんの広い胸の中に、すっぽりと抱きすくめられていた。
彼の片腕が私の細い腰をがっちりとホールドしていて、背中越しに、運動したばかりの彼の熱い体温と、ドクドクと速い心臓の鼓動がダイレクトに伝わってくる。
「あ……一ノ瀬、くん……」
「相手ディフェンス、突っ込んできてただろ。お前、華奢なんだから、まともにぶつかったら吹っ飛ぶぞ」
一ノ瀬くんは私を庇うようにして、突っ込んできた男子生徒を鋭い視線で睨みつけた。
「わりぃ一ノ瀬! 小鳥遊もすまん!」と相手の男子が慌てて手を挙げる。
一ノ瀬くんは「フン」と鼻を鳴らすと、ゆっくりと私から腕を離した。密着が解けた瞬間、なぜか急に身体が寒くなったような気がして、私は慌てて自分の胸元を押さえる。
(危なかった……バレるところだった……)
(でも、一ノ瀬くん、今、僕のことを守ってくれたの……?)
顔が、メンズメイクの上からでも分かるくらいに熱い。
女子たちの前では完璧な王子様でいられるのに、一ノ瀬くんの前だと、私はただの『男の子の身体の大きさにドギマギする女の子』になってしまう。
「……何赤くなってんだよ。ほら、試合戻るぞ」
一ノ瀬くんは少しぶっきらぼうに私の頭をぽんと叩くと、さっさとコートの定位置に戻っていった。
彼の耳の縁が、ほんの少しだけ赤くなっていたことに、私はまだ気づいていなかった。

