一ノ瀬くんの少し前を歩く背中を追いかけながら、私はブレザーの裾をぎゅっと握りしめた。秘密を共有する彼との距離が、ほんの少しだけ縮まったような気がする。
そんな甘酸っぱい余韻が胸の奥に残るなか、私達は静まり返った渡り廊下を進んでいた。
「──おい。そこで何こそこそ話してんだよ」
不意に前方の闇から響いたのは、低く、どこかドスの利いた響きを持つ男らしい声だった。
心臓が跳ね上がり、私は思わず足を止めて息を呑む。
「り、律先輩……!?」
見上げれば、中庭に続く扉の近くで壁に背を預け、鋭い眼光をこちらへ向けている律先輩の姿があった。
私の正体を暴き、顎をグイッと力強く持ち上げて冷徹に微笑んだ、あの恐ろしくも美しい先輩。彼もまた、私の本当の姿を知りながら、その圧倒的な存在感で私を翻弄し続ける人物の一人だった。
「げ……生徒会長」
隣で一ノ瀬くんが、あからさまに不機嫌そうな声を漏らして眉をひそめる。
律先輩は壁から背を離すと、不敵な笑みを口元に浮かべ、ゆっくりと私達の方へ歩み寄ってきた。
「一ノ瀬、お前さっきからツムギを独り占めしすぎだろ。うちの役員どもを調子狂わせてる張本人を、そんな場所で引き留めて何してんだ?」
じりじりと距離を詰めてくる先輩の、高くて熱い体温が、まだ触れ合ってもいないのにダイレクトに伝わってくる気がして身震いがした。
「別に、何もしてねえよ」
一ノ瀬くんが私の前に一歩踏み出し、庇うようにして律先輩の視線を遮る。2人のイケメンの間で、一瞬にしてピリピリとした火花が散り、私はその緊迫感にただ圧倒されるしかなかった。
そんな甘酸っぱい余韻が胸の奥に残るなか、私達は静まり返った渡り廊下を進んでいた。
「──おい。そこで何こそこそ話してんだよ」
不意に前方の闇から響いたのは、低く、どこかドスの利いた響きを持つ男らしい声だった。
心臓が跳ね上がり、私は思わず足を止めて息を呑む。
「り、律先輩……!?」
見上げれば、中庭に続く扉の近くで壁に背を預け、鋭い眼光をこちらへ向けている律先輩の姿があった。
私の正体を暴き、顎をグイッと力強く持ち上げて冷徹に微笑んだ、あの恐ろしくも美しい先輩。彼もまた、私の本当の姿を知りながら、その圧倒的な存在感で私を翻弄し続ける人物の一人だった。
「げ……生徒会長」
隣で一ノ瀬くんが、あからさまに不機嫌そうな声を漏らして眉をひそめる。
律先輩は壁から背を離すと、不敵な笑みを口元に浮かべ、ゆっくりと私達の方へ歩み寄ってきた。
「一ノ瀬、お前さっきからツムギを独り占めしすぎだろ。うちの役員どもを調子狂わせてる張本人を、そんな場所で引き留めて何してんだ?」
じりじりと距離を詰めてくる先輩の、高くて熱い体温が、まだ触れ合ってもいないのにダイレクトに伝わってくる気がして身震いがした。
「別に、何もしてねえよ」
一ノ瀬くんが私の前に一歩踏み出し、庇うようにして律先輩の視線を遮る。2人のイケメンの間で、一瞬にしてピリピリとした火花が散り、私はその緊迫感にただ圧倒されるしかなかった。

