樹の空色づくと幸せになれる。セミは世の生業に供えて淋しさを称えていた。切ないのは

蝉知

 無いと、駄目なんだろ。何もかも意味が無いんだろ。性行為が無いと、何もかも失うんだろ。優しそうに、後悔しない様に、大事に抱き止めて、仕舞いには殺してしまうんだろ神。エデンが見えないなら、最早砕けてしまうんだろうけどね。失った心を、更にね。頭をべっ、とつける様に、体をばっ、とつける様に、そんな酷い事があったと言うんなら、俺は死んだって良かった。淋しいだけー、もう、話す事も無いかな。
 蝉知は、今一歳。そんな事を思い鳴いていた。
 蝉知は、余暇の声を聴いていた。ヒトの鳴き声だ。何も分からないけど世の中は残虐で綺麗な光景は残虐死に化ける。もう何も言う事は赦されなくて、笑った、消えてくれない?
 もう、死んだってまたいて変わっても変わらなくても良いと言うんならね。強いその目は薄い色の儘で、圧倒されてまた誰かとヒトが死んだに違いなかった。
 それはとても小さい蝉だった。
 蝉知はもう戻れない。御決まりのガンダーラを身に纏い、色合いは紺色で、幾つか持していた。行く先に明日流転する綺麗な子供がいて話しかけた。
 セミ様。後悔はしませんから。一年エデンに置いて戴き感謝致します。本当の事を、確かめに降ります。さようなら。待ってとは言えない。確かめる事は、残虐死したのが一歳で自分だけだったから、生きていた筈の他のヒト達と生きてまだ死ぬ迄一緒にいたいと言うものだ。温和だと蝉知は思った。危ない筈だ。本場者の馬鹿かも知れない。

 少しでもこんな世界に思い入れとか会いたいとか護りたいとか殺したいとか消したいとかさあ!あんたは愛してるよ絶対。苦しい。苦しい!みなあんたの中にいるだけで、もう他の事を見ないで!俺らだけを、見てよー。

 蝉知は目を瞑って笑った。良いね。美しい心を共に咲き死ぬと良い。俺には分からない。神?俺の事は助けて他の愚鈍なのは散らすよな。いいよ。美しかった一歳の子供は落ちた。都落ちと言われてどか笑いされている事は知らなそうだった。

 白蝉?
 少し怖いよ。死ぬヒトを見る仕事は。泣かないでお姉さん。お兄さんの方も。泣きじゃくる白蝉五歳が遠くでくるくる回って飛んでいた。
 分からないよね。絶対に死なない、消えない、殺されない、悪害が無い、綺麗でー、其処で白蝉はわなわなしていた。とっくにエデンはそうですよ!何が間違って全ての罪を許す愚かな事になるんです!まだある。滅び、普通無いからー。星が携えて消すのは美しいヒトばかりで、神の過ちの限度を超えたら最早自動運転軋轢になって仕舞うという事だ。誰も、泣かない。あの日の間違いがよお。うるせえ。