白手 憂怜の怖いお手紙


男の人だった?と聞くと、母が見たのは長い髪で目の細い女の人だったそうです。

そしてそれだけでなく、日を重ねる事に異変は起こっていきました。

二日後には、夜中にトイレに起きた父が廊下を滑るように進むスーツ姿の男の人を見たんです。

その数日後、弟も(ふすま)で囲われた仏間からうめき声が聞こえたと真っ青になっていました。

これはさすがに幽霊だよね、と家族で話し合い…霊媒師の人を呼んで祓ってもらおうという流れになったんですが…。

そんなのどうやって頼む物なのか分からず、そもそも引っ越したばかりでお金もそんなに無かったので霊媒師を呼ぶのは保留にしました。

取りあえず、この家の持ち主だった方に連絡をさせてもらい話を聞く事になったんです。

持ち主の方…大家さんは父から話を聞いてすぐに私達の現状を理解してくれたのか、電話口で謝ったあと、こう言ったそうです。


『やはり、出ましたか…』


話を聞くと今までこの家に住んでいた人は、皆さん幽霊を見て家を退去していったんだとか。

私は最初に感じた“違和感”について、ようやく納得しました。

この家の家具は、モチーフが全てバラバラだったんです。

花柄のカーテン、レトロな食器棚にシックなソファ。

それはこの家に住んでいた持ち主が、代わる代わる家を去っていった名残だったのでしょう。

それだけ入居し、退去した方がいたという事。