白手 憂怜の怖いお手紙


「……えっと……」


困惑する私は階数を現すボタンへ目を向けました。

四階と五階のボタンがあった場所には大きくバツ印が書かれたガムテープが貼られています。


「五階でお願いします」


再び、女の人が声を発しました。

私は変な人だなと思いながらも、面倒事にしたくなくてガムテープの上から五階のボタンを押したんです。

不思議な事に、ボタンが光りました。

まるで、五階まで存在しているかのように。

エレベーターが上昇していきます。

一階から二階へ。

そして二階から三階へ上がる途中、ガタンと大きな音を立ててエレベーターが揺れました。

頭上に表示された階数は、二階。

エレベーターはそこで動きを止めました。

慌てて開閉ボタンを押します。

しかし、エレベーターは反応しません。

狭いエレベーターの中に、私と白い服の女の人が取り残されました。

非常用ボタンも押してみましたが、結果は同じ。

それなら、とバッグをあさりスマホを取り出して、私は家にいるはずの母に電話をかけようとしました。

しかし、それもできませんでした。


「えっ……なんで?」


スマホには、圏外の表示がされていて使用できなかったのです。

こんな事、今までなかったのに。

背筋に薄ら寒さを感じて、半袖の制服から出ていた腕をさすりました。

不自然に鳥肌が立っています。


「五階でお願いします」


後方で、女の人の声が聞こえました。

抑揚のない、淡々とした口調。

それはこの世の物とは思えませんでした。