白手 憂怜の怖いお手紙


山を下りて、止めていた車に向かう道中、私は意を決して娘に聞いてみました。


「ねえ……アンタってなんでこの山に来ると、いつも落ち着きがないん?」


「ここやったら話したくないんよね。帰りにお店行くやろ?そこで話す」


我が家ではお墓参りが終わると飲食店でご飯を食べて帰るのが恒例だったため、その日も有名なファミレスチェーン店へと向かいました。

頼んだ冷たい緑茶を飲み、娘が口を開きます。


「さっきの話やけどね、あたしがあの山に行くと落ち着かんくなるのには理由があるんよ」


娘が言うには、小学生の頃。

あの山で白無垢を着た女の人を見たと言うのです。

白無垢……という物を皆様はご存じですか?

簡単にお教えすると、ウェディングドレスの和服版のような物です。

あんな山の中で婚礼衣装に身を包んだ女性がいるなんて……そんなの普通はあり得ません。

半信半疑で話を聞いてみると、その女性は一度ではなく何度も姿を見せていたようでした。


「最初はあたしも子供やったし、花嫁さん綺麗やなーって思っちょったけど……段々と怖くなってきたんよね」


「白無垢やったんやろ?そんなん目立つし、他に誰か見た人おらんの?」


私の言葉に、旦那と息子が首を横に振ります。

白無垢の女性が見えていたのは、娘だけだったようです。