「これはありがたいな。もしかして、ここを管理してくれてた人が残していってくれたのかな?」
「家具を置いていって空き家だなんて…そんな事ある?その方、頻繁に家に出入りされていたんじゃない?そんなにホコリっぽくもないし」
両親は家具が残ったままの室内を見てそんな会話をしていました。
確かにその家は今すぐ掃除が必要なほど汚れているわけでもなく、むしろつい最近まで誰か住んでいたんじゃないかってくらいキレイだったんです。
だけど私には、それが少し不気味に思えました。
それぞれが部屋を見ていき、両親と弟は部屋数の多いその家をすっかり気に入って…そこに住む事に決まったんです。
そのとき違和感を感じていたのは、恐らく私だけだったでしょう。
だけど弟とは別々の一人部屋をもらい、下見を終える頃には私もすっかり違和感を忘れて有頂天になっていたんです。
今まで弟と二人、同室で過ごしていたので、本当に嬉しくて。
それで引っ越しが終わり、本格的に生活が始まりました。
電化製品は自分達が今まで使用していた物と交換したり、しなかったり。
その物の新しさや使い勝手などにも合わせて変えていたのですが、さすがに寝具は誰が使っていたか分からないため抵抗があって…。
備え付けのベッドはまだ使わず、お金が貯まってからシーツやマットレスなどを新品に変えて使おうという事になったんです。
それまでの間は、前の家で使っていた敷き布団で寝る事になりました。
異変が起きたのは、引っ越し初日の夜の事です。



